医療政策 総点検 安倍政権の5年間
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社会保障費自然増の圧縮 |
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高齢化や医療の高度化に伴う社会保障費の自然増の抑制額は、13年度から5年間の累計が1兆4600億円に上っている(表)。16年度は診療報酬マイナス改定で1500億円を圧縮した。来年度は自然増6300億円を見込み、5000億円に圧縮するため1300億円を削減する。一方、防衛費の概算要求は5兆2551億円で、17年度当初予算から1300億円増額しているが、社会保障費の自然増の抑制額1300億円で賄う形だ。
今年度予算編成の際に、▽70歳以上の高額療養費の自己負担上限引き上げ(国費224億円削減)▽後期高齢者医療制度の保険料軽減の縮小・廃止(国費187億円削減)▽65歳以上の療養病床入院の光熱水費の自己負担引き上げと対象患者を拡大(国費17億円削減)など、法律改定が不要な負担増を決めた。
政府の「改革工程表」には、@「外来時の定額負担」を導入し、3割の法定負担に定額負担の上乗せを義務付ける(1回100円の定額負担とした場合、年間20億回の外来受診〈厚労省調査〉で2000億円の負担増)、A先発品を選んだ場合、後発品との差額を患者負担にする、B後期高齢者の患者負担を1割から2割へ引き上げる、などの項目が並んでいる。全世代で経済的な理由による受診抑制を招き、疾病の長期化や重篤化を招くことが懸念される。
以上