アジア太平洋16カ国のRCEP交渉
―TPP水準の条項を議論 交渉経過と内容は非公表―
(全国保険医新聞2017年10月5日号より)
離脱した米国を除くTPP署名11カ国による首席交渉官会合が7月から9月にかけて開催された。包括的経済連携協定(RCEP)交渉も進んでいる。しかしいずれも、情報開示が不十分な点に批判が集まっている。
TPPは米国除き合意目指す
7、8月に開催された米国を除くTPP署名11カ国による首席交渉官会合では、米国に譲歩した項目について各国から凍結や修正の要求が相次いだ。9月に東京で開かれた首席交渉官会合では、バイオ医薬品データの保護期間(8年を凍結で一致)、医薬品特許期間の延長措置、著作権の保護期間、国有企業の優遇禁止など50項目ほどに絞り込み、見直しの方法を議論した。11カ国全てが同意すれば、米国が復帰するまで凍結し、復帰した時点で凍結を解除する。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた大筋合意を目指しているが、各国の主張にはなお隔たりが残っている。
アジア太平洋の16カ国(日本、中国、インドなど)でのRCEP交渉では、医薬品の特許保護強化、ISDS条項、種子の権利、電子商取引など、TPP水準の条項が持ち込まれている。年内に「重要な成果」を目指すとされているが、不透明な状況だ。
政府の姿勢に批判
多国籍企業の利益を優先するTPPに反対する「TPPプラスを許さない!全国共同行動」は9月13日、「TPP11」およびRCEP交渉を考える院内集会を開いた。内閣官房TPP等対策本部、外務省、農林水産省の担当者は、交渉は進んでいるとしながら、交渉経過や内容は公表しないとの発言を繰り返した。TPP交渉のときに開いた業界団体への説明会も行われず、国民が判断できる資料を一切出さない政府の姿勢に批判が続出した。
以上