来年度の法定外繰り入れ容認
―厚労省、保険料上昇の試算受け―
(全国保険医新聞2017年11月5日号より)
厚労省は9月に、2018年度からの国保都道府県単位化による急激な保険料の上昇を防ぐため、市区町村による国保の法定外繰り入れを当面容認する姿勢を示した。これまでは法定外繰り入れを「計画的に解消・削減すべき」という立場だったが、各地の試算で保険料の上昇が示されたのを受け、激変緩和のために容認せざるを得なくなったものだ。もっとも、「繰り入れを計画的に減らす姿勢に変わりはない」としている。
18年度からの国保都道府県単位化では、市区町村に加えて都道府県が国保の保険者となる。保険料率の決定、徴収を市区町村が行う点はこれまでと同じだが、市区町村に替わって都道府県が国保財政を管理する。
市区町村は、都道府県から割り当てられた国保事業費納付金(納付金)を都道府県に100%納める義務を負う。都道府県は、各市区町村が納付金を納めるために必要な「標準保険料率」を示し、各市区町村がそれを参考に保険料率を決定する。
標準保険料率が各市区町村への圧力となり、市区町村が独自に実施してきた法定外繰り入れによる減免措置ができなくなり、保険料が引き上がる懸念が指摘されてきた。
今後都道府県は年内に国保運営方針を決定し、来年1月に納付金と標準保険料率を確定する。市区町村は新しい保険料率を盛り込んだ条例改正案を、3月または6月議会に提案する見通しだ。
以上