オプジーボ薬価、算定見直しへ 再算定の隙間埋める
(全国保険医新聞2017年11月15日号より)
中医協薬価専門部会が10月27日に開催され、用法用量変化再算定の見直しが提案された。見直しの適用でオプジーボは半額引き下げ(2017年2月)前の薬価の56%減になるとも指摘される。オプジーボは費用対効果評価の対象品目でもあり、18年4月の薬価改定が注目される。
用法・用量を変更した医薬品には、1日薬価が同額になるように調整する用法用量変化再算定が適用される。薬価96円の薬の用法・用量が1日2錠から3錠になった場合、薬価は3分の2の64円で再算定される。
ただし、主たる効能・効果が変更されたことで用法・用量が変わった場合は用法用量変化再算定の対象にならない。オプジーボは主たる効能・効果が当初の悪性黒色腫に肺がんの一部が追加された上で、用法・用量が変わったため再算定を逃れていた。
通常であれば、主たる効能・効果が変更された薬には、変更後の類似薬がある場合は効能変化再算定が適用される。しかし、オプジーボの肺がんの効能追加時は類似薬が収載されておらず、効能変化再算定も適用されなかった。
オプジーボは効能追加によって、薬価再算定の隙間≠ノ落ち込んだ形だ。結果として、特例的な市場拡大再算定で2月から薬価を半額下げた。
再算定で56%減か
オプジーボの効能・効果と用法・用量 |
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中医協薬価専門部会資料(2017年10月27日)を基に作成 |
今回、厚労省は表のように、オプジーボを例にあげ、「主たる効能・効果の変更に伴い、用法・用量が大幅に拡大した品目」も用法用量変化再算定の対象に加えることを提案した。ただし、主たる効能追加前の効能に関する用法・用量を考慮しない形になること等から、「一定程度市場規模の拡大した品目」を対象にするとした。
オプジーボは効能追加によって、1回当たり投与量が1.5倍、投与間隔は3分の2になり、1日薬価を合わせると投与量は2.25倍になる。今回の見直しで、薬価は2.25分の1(56%減)に再算定される形となる。
オプジーボについては、2016年11月の緊急の薬価半額引き下げ決定に際して、18年度改定では、「17年度薬価調査に基づき、半額に引き下げなかったと仮定した販売額を算出の上、18年度薬価制度改革に基づき再算定をあらためて実施する」ことが確認されている。半額に引き下げる前の販売額を前提に、今回の見直しなどの適用が検討される見通しと報道されている。
費用対効果評価も
オプジーボは、現在、試行的導入にある費用対効果評価の対象品目でもある。18年度改定での評価実施に向けて▽価格引き上げの可否▽調整対象となる価格範囲(加算分に留めるか否か等)▽延命治療等への社会的配慮―など制度の具体化に向けて検討中だ。しかし価格引き上げの是非や調整価格の範囲など制度の要をめぐり議論は紛糾している。
個別品目の分析・評価はじめ具体的な制度運用は非公開の専門組織に委ねられており、「評価過程が透明性に欠ける」「公開の場で議論すべき」などの声も強い。次期改定に向けてオプジーボ薬価の動向が注目される。
以上