【薬価制度改革】高薬価の温存・強化
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オプジーボの効能・効果と用法・用量 |
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※中医協薬価専門部会資料(2017年11月22日)より作成 |
経費・利益を積み上げて薬価を算定する原価計算方式について、イノベーション評価で価格補正される範囲が、営業利益から価格全体に拡大される。評価は、画期性加算、有用性加算など7種類を活用する。薬価算定組織(非公開)に対する製品総原価の情報開示の程度に応じて、加算を補正する程度に差をつける。情報開示度が高いとされる場合、仮に画期性加算で100%評価がつくと、価格が倍になる。
薬価に織り込む研究開発費等について、化学合成品で算定組織への情報開示度が高い場合、算定上限を大幅に引き上げる。営業利益の水準も、他産業と比べ突出して高い指標(上場企業の一部:現在14.7%)を引き続き使用する。
非公開の算定組織の下、高薬価算定を可能とする仕組みがさらに広げられる。
長期にわたり高薬価を維持する新薬創出等加算について、対象品目を値下がり幅の小さいものから、革新性・有用性が認められる医薬品に変える。対象企業についても、画期的新薬の創出、ドラッグラグ解消等の実績や取り組みを評価して、達成度に応じて3段階で評価する。名称を「革新的新薬創出等促進制度」に変更し、試行継続に代えて「制度化」(恒久化)を検討する。対象企業と品目を制限する一方、制度化を図るものだ。
新薬を開発する企業は、薬価算定時の高い営業利益設定、予算による研究支援、産学間連携、研究開発減税など幾重にも恩恵を受けており、大手製薬では数千億から1兆円の内部留保を持つ所もある。新薬創出等加算そのものが不要である。
C型肝炎治療薬ソバルディなど13品目を対象に試行導入中の費用対効果評価では、「効果が高い又は同等で、費用が削減する」場合は価格引き上げも認める。
現行2年に1度の薬価改定の合間の年にも、全品で薬価調査し、実勢価格の値下がりが大きい品目について薬価を改定する。21年度から実施。調査対象は卸売のみだが、医療機関のシステム改修費等の負担増も危惧される。
改定する品目の範囲は20年中に設定するが、「国民負担の軽減の観点から、できる限り広くすることが適当」としている。厚労省は、実勢価格の値下がりが平均値を超える品目を対象とする場合、最大2900億円の医療費削減になると試算している。国費ベースでは750億円前後になる。
技術料改定のない年に実施されるため、薬価改定で生まれた財源が技術料本体への充当から切り離され、医療・社会保障費がカットされていくことが危惧される。
以上