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子ども医療費、コンビニ受診? 過剰診療?
無料化めぐる誤解依然

全国保険医新聞2018年4月25日号より)

 

 

 子ども医療費無料化が広がっている。この10年で助成制度は大きく広がり、「中学卒業まで」「高校卒業相当まで」を助成する市町村は、通院では8割、入院では9割に上る。現物給付や所得制限を設けない自治体も増えている。

 

一般紙読者から「心配」「反対」

 こうした中、無料化についての誤解も依然見られる。昨年8月には『日本経済新聞』が「安易な受診を増やし医療費膨張につながる副作用は深刻」と報じた(記事に対する要望書「事実に基づいて執筆を―日本経済新聞8月1日付記事への意見と要望」)。今年2月21日付の『朝日新聞』でも、無料化が過度な受診や検査・投薬、軽症でも夜間・休日問わずに受診する「コンビニ受診」を生んでいるとする見解が掲載された。『朝日』にはその後も「過剰診療が心配」「安易な無料化に反対」とする読者からの投稿が掲載されている。

 保団連の本田孝也理事は『日経』記事を検証し、厚労省発表のデータを元に子ども医療費無料化を拡大しても安易な受診や医療費膨張につながらないとする調査結果(「子ども医療費助成制度の推移と患者の受診動向の分析」)を昨年12月に発表した(本紙17年12月25日号で既報)。02年から16年の医療費の動向などから、助成制度は拡大し(図1)助成対象人口が増えているにも関わらず、いずれの年齢階級でも時間外受診件数は減少傾向を示した(図2)。本田理事はこうした結果について、「必要な受診が確保されたために疾病の重症化が防止され、時間外受診が減少した」と分析した。

 

子ども窓口負担は切実

 4月15日の保団連理事会では、こうした誤解を解き、無料化が必要とする発言が相次いだ。▽子ども医療費無料化反対は医師の中では少数意見ではないか▽反対派の医師にも保団連の調査を示すと理解してもらえた▽子どもの口腔機能発育不全の管理が保険適用になり患者にとても喜ばれた。子どもの窓口負担は切実▽未だ無償化に反対する意見があることが分かった。マスコミに私たちの意見を伝えていく―などの声が上がった。
 保団連は今後も子ども医療費無料化の拡大に取り組んでいく。

以上