診療報酬改定 現場の声
医科「訪問診療の算定制限は不合理」
歯科「院内感染防止対策の評価不十分」
(全国保険医新聞2018年5月5・15日号より)
全国の保険医協会・医会が開催している18年診療報酬改定の内容を解説する新点数説明会では、今次改定に関して、さまざまな声が集まっている。特に医科の訪問診療料の算定制限、歯科の院内感染防止対策の施設基準などには批判が大きい。全国保険医団体連合会は今後これらを要求としてまとめ、不合理な改定内容の是正を求めていく。
複雑すぎる点数設定や通知の遅れにより、医療現場に混乱が生じている。
説明会の参加者からは「点数が異常なまでに細分化(届出、施設基準など)」「複雑な改定内容を理解するため十分な周知期間を保障してほしい」といった声が寄せられた。
必要な医療が提供できない
医科の訪問診療では、一定の算定要件を満たす他の医療機関の依頼で訪問診療を実施した場合にも、在宅患者訪問診療料が算定できるようになった。しかし、月1回、開始月から6カ月という厳しい制限が設定されている。複数の疾患を持ちながら在宅で療養する患者を地域で支えるには、専門科の異なる複数の医師の連携が不可欠だが、算定制限により必要な医療が提供できなくなるという声が多数出された。
在宅医療の取り扱いが改定のたびに変更され、対応しきれず減収との声も多い。
また、ベンゾジアゼピン系薬剤を、不安や不眠の症状を持つ患者に対して長期継続処方している場合の減算規定が新設された。しかし診療報酬で制限することへの疑問や、「無理に減量を進めるのは患者への影響が大きい」などの批判が寄せられている。
施設基準による矛盾深刻
歯科では、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)の施設基準に、地域連携に関する会議などへの参加実績が要件として導入された。すべての歯科医療機関で提供できる処置の評価に、施設基準で差をつける矛盾はいっそう深刻になっている。「施設基準など限定された医療実績のみを評価しただけでは意味がない」との声もある。
また、基本診療料が3点上がったものの、院内感染防止対策の施設基準が新設され、届出がなければ現行より減算となる。実態に見合った評価をせず、懲罰的な減算だけを盛り込むことは問題だ。会員からは「院内感染防止対策はしっかり行っているが、費用負担に対して十分な評価がされていない」と、怒りの声が寄せられている。
保団連は今後、これらの声をまとめて国会議員、厚労省などに届け、不合理な改定内容の是正を求めていく。
以上