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TPP11はいいことなし―米国抜きなら大丈夫? なにが変わった?
承認案・関連法案 国会で審議入り

全国保険医新聞2018年5月25日号より)

 

 

 米国を除く11カ国によるTPP=TPP11の承認案・関連法案の国会審議が始まった。政府は今国会での早期の成立を目指している。米国の離脱で経済規模が縮小、一部内容も凍結されたが食の安全や投資分野など暮らしに影響するルールは変わらない。TPP11の論点を考える。

 

農業、食の安全

 従来のTPPで決まった過去最大の関税撤廃は一切凍結されない。牛・豚肉で譲歩した内容はそのまま残り、米国の輸入を見込んで設置された乳製品の低関税枠をニュージーランド、オーストラリアなどが狙っている。また、牛肉などの輸入増に対する緊急の輸入制限措置(セーフガード)も実質的に発動不能になった。
 食の安全についても、従来のTPPと危険性は変わらない。現在日本への輸入食品は平均92時間かけて検疫所を通過するが、TPPによって原則48時間以内に国内に流通させることになる。意図しない遺伝子組み換え作物の混入があった際もつき返せない。また、消費者庁は「遺伝子組み換えでない」という任意表示をできなくする検討を進めている。

 

ISDS条項

 投資家が投資先の国の措置によって損害を被ったと判断した場合に相手国を訴えるISDS条項は、環境や暮らしを守るためのルールを国や自治体が決められなくなると危惧される。TPP11では一部分野で凍結されたが、仕組み自体は維持され、危険性は変わらない。投資受け入れ国に課された義務も変更されない。

 

表現の自由

 TPP関連法には、著作権の侵害を著作権者が訴えなくても捜査の対象とする非親告罪化が盛り込まれている。二次創作など表現活動に萎縮が生じかねない。SNSを使った情報共有なども第三者の通報によって捜査の対象とされかねず、表現の自由が脅かされる。

 

医薬品の特許

 米国が強く求めた製薬企業に有利な特許延長規定や、バイオ医薬品(抗がん剤など)の新薬データを公開しない保護期間を8年とする規定などは、TPP11で凍結された。途上国を中心に安価なジェネリック医薬品やワクチンの普及を脅かすリスクは回避された。
 しかしこれらは米国が復帰するまでの暫定措置でしかない。トランプ米大統領は「これまで以上の内容が得られるなら、TPP加盟国との再交渉を」考えると発言した。TPP11が発効すれば、TPP以上の譲歩を引き出そうとする米国からの圧力が強まることが懸念される。

「批准させない」緊急取り組み

 保団連では、TPPテキスト分析チームが作ったリーフレット「いいことひとつもなし!TPP11」の活用と、TPP11を批准しないよう求める請願の取り組みを呼び掛けています。お問い合わせは保団連事務局まで。

以上