【消費税を解きほぐす@】低収入ほど重い負担
(全国保険医新聞2018年5月25日号より)
1989年に消費税が導入されてから、30年目を迎えた。来年10月には税率10%への引き上げが予定されている。保団連は消費税の税率引き上げに反対し、医療機関に生じる「損税」問題にも取り組んでいる。消費税の問題点をあらためて考える(随時掲載)。
消費税は収入が低いほど重い負担を強いられる逆進的な税金だ。累進課税や生存権を具体的に保障するための生計費非課税という、憲法にもとづく税制の基本原則に真っ向から反する。
総務省の「家計調査」をもとに、年間収入階層ごとの消費税の負担割合を示した。年収300万円〜350万円の収入に占める消費税負担額の割合は6.0%となっているが、収入が増えるにつれて負担率は右肩下がりで低下し、1250万円〜1500万円では2.8%まで低下している。
この逆進性は国民の暮らしにきわめて大きな影響をもたらす。同じ調査で、収入1250万円〜1500万円の階層の平均消費支出は約533万円であり、収入に占める支出の割合は半分にも満たない。一方、300万円〜350万円の階級における消費支出の平均は約260万円となっており、収入の大部分が消費に充てられている。さらに収入が低い層では、消費支出を収入で賄えず貯蓄を切り崩して生活せざるえないこともある。低所得層にとって、消費税負担増はそのまま最低限の生活の切り下げにつながるものだ。
「自己責任」が強調され社会保障の削減が推し進められ、国民の将来への不安が高まっている中、税と社会保障による所得再配分機能の回復が求められている。それに逆行する消費税増税を行えば、さらなる貧困化を招き、格差の拡大と固定化が進むことになる。
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