ホームニュースリリース・保団連の活動医療ニュース 目次

 

財務省が「建議」―社会保障費の削減さらに

全国保険医新聞2018年6月5日号より)

 

 

 政府は6月中にも、19年度予算編成の基本方針や今後の経済財政政策の方向性を定める「骨太の方針2018」を決定する。これに先立ち、財務省の財政制度等審議会がまとめた「新たな財政健全化計画等に関する建議」は、国と地方のプライマリーバランスの黒字化を目的として、特に社会保障の分野での歳出削減を進める内容だ。

 

 5月28日に政府が公表した「骨太方針2018」骨子案には、新しい経済・財政計画の策定が位置付けられ、社会保障分野を中心に歳出改革等に向けた取り組みの加速・拡大の方向性が示された。
 財務省の建議は、社会保障費について具体的な削減目標は示していないものの、2016年度から18年度までの考え方を踏襲。19年10月の消費税増税を確実に実施したうえで、「社会保障費の伸びを高齢化等の人口変動に伴う伸びの範囲内におさめる」とした。医療・介護分野での具体策として、75歳以上の窓口負担2割への引き上げや介護保険利用者負担の引き上げなど、「負担増・給付抑制」メニューを挙げた。新たな仕組みとして、経済成長や人口の減少ペースに合わせて患者負担を自動的に増やす仕組みも提案。貧困と格差が拡大し、医療・介護を満足に受けられない事態が広がる中で、「財政健全化」を名目に国民にさらなる犠牲を強いるものだ。

 

働き手増やして 財源確保を

 財務省は現状認識として、「高齢者人口の増加による医療・介護費用の増加」、「医療の高度化・高額化」と並んで「支え手の大幅な減少」を強調した。しかし、「厚生労働白書2017年版」が指摘するように、2000年からの30年間で「非就業者1人に対する就業者の人数」は1.00〜0.91人で推移しており顕著な減少はない。今後、若者・女性、高齢者等の労働参加が適切に進んだ場合、1.12人に増える可能性もあるとしている。保険料を支払う「働き手」を増やすことで、雇用の改善・確保が求められている。

以上