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20年度運用開始 受診情報のネット閲覧 ― 情報漏えいの懸念も

全国保険医新聞2018年6月15日号より)

 

 

 厚労省は5月25日、社会保障審議会医療保険部会に、医療機関におけるオンライン資格確認や患者が健診結果や受診・服薬情報をネット上で閲覧できる仕組み作りなどの調整案とスケジュールを示した。個人情報漏えいなどが懸念される。

 

基金等で患者情報一元管理

 現在、国保や健保組合等での保険証番号は世帯単位であり、番号や資格管理も保険者ごとに行っている。転職・引越し等で加入する保険が変われば、個人の氏名・性別や負担割合等の資格情報は継承されず、継続的な資格管理はされていない。
 厚労省は新たに、加入する保険に関わらず、資格情報等のデータを連結して管理するとして、被保険者一人一人に番号を割り当て、社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会が一元的に管理することを示した。

 

資格確認で番号カード拡大狙う 

 個人単位での資格管理により、リアルタイムで資格情報を検索し、医療機関に返すオンラインでの資格確認を実現する。厚労省は、マイナンバーカードのみによる受診でも資格確認を可能にすると提案。医療機関は、マイナンバーカードを窓口で読み取り、受診時やレセプト請求前などにオンラインで支払基金等に資格情報を照会・確認する。2020年度中に運用を開始し、個人単位の保険証番号によるレセプト請求は、21年4月診療分以降を予定する。
 資格期限切れの保険証による受診が減少する見込みなどとする一方、保険者からはシステム改修等に要する予算確保や人的支援を求める声が出ている。マイナンバーカードでの受診に対応する場合、医療機関ではICカードリーダー、レセプト専用回線のシステム改修等が必要となり、費用負担も発生する見通しだ。
 保険証機能を持たせることで、マイナンバーカード拡大を図る狙いも見られる。セキュリティが懸念されるマイナンバーカードを医療現場に持ち込むことは問題だ。

 

セキュリティ懸念 マイナポータル

 個人単位での資格履歴管理に伴い、患者が加入する保険が変わっても、特定健診や受診データを継続して管理するための効率的なシステム整備が可能になるとして、患者本人が、受診・服薬情報、健診等結果の情報についてインターネット上で閲覧できる仕組みについて、政府が運営するオンラインサービスであるマイナポータルを活用する形で構築する。患者はネットにアクセスし、マイナンバーカードを使ってポータルサイトにログインし、自身の医療情報などを確認する手順となる。機微性の強いゲノム医療の進展なども見込まれる中、個人情報漏えいやセキュリティ対策を危惧する声は強い。
 また、支払基金等が健保組合や国保等と契約して、個人の健康データを履歴管理し健康管理サービス(PHRサービス)を提供する事業者を通じて、受診・服薬情報等を提供する仕組みも可能とする。民間事業者の介在により、情報漏えいやプライバシー侵害の危険性が一層高まるとともに、非営利の医療において営利との境界が曖昧になり、医療の姿が歪められる事態が危惧される。

以上