「骨太の方針2018」 閣議決定、75歳以上「2割化」検討進める
(全国保険医新聞2018年7月5日号より)
政府は6月15日、来年度以降の予算編成の基本となる「経済財政運営と改革の基本方針2018」を閣議決定した。
「骨太の方針」では、2019年度から21年度を「基盤強化期間」と位置付け、社会保障関係費の歳出削減を進めるなど、社会保障費抑制路線をこれまでどおり継続する内容となっている。また、19年10月からの消費税10%への引き上げを明記した。
医療・介護の分野では、後期高齢者の窓口負担(原則2割化)や受診時定額負担の導入、薬剤自己負担の引き上げなどが引き続き掲げられた。また、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準を見直し、負担増の対象拡大を迫る内容だ。
地域別診療報酬については、「都道府県の判断に資する具体的な活用策の在り方を検討する」ことが盛り込まれた。奈良県では知事が検討を表明しているが、奈良協会や保団連近畿ブロックは「地域医療の質を低下させる」などとして反対を声明。日本医師会も一貫して反対の姿勢を示している。
財務省の「建議」で提案された、「医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入」については、直接的な表現は盛り込まれなかった。もっとも今後の動向には注意が必要だ。
保団連の取り組みを反映
保団連をはじめ医療界の取り組みや、安倍首相や財務省に対する批判の世論を反映して、方針では、これまで示されていた社会保障費の自然増抑制額の数値目標は示されなかった。また、後期高齢者の窓口負担については、これまで18年度中に結論を出すとされていたが、22年までに検討することとされた。一方で、財務省・日本経団連・経済同友会・日商・健保連・協会けんぽ・連合などが早期の実施・検討を求めているため、予断を許さない。
保団連は引き続き負担増ストップ、社会保障充実に向けた取り組みを強めることにしている。
以上