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【消費税を解きほぐすA】 経済も国民生活も破綻

全国保険医新聞2018年7月5日号より)

 

 

 1989年に消費税が導入されてから、30年目を迎えた。来年10月には税率10%への引き上げが予定されている。保団連は消費税の税率引き上げに反対し、医療機関に生じる「損税」問題にも取り組んでいる。消費税の問題点をあらためて考える(随時掲載)。

 

 「骨太の方針2018」は2019年10月の消費税税率10%への引き上げを予定通り実施するとした。
 税率を8%に引き上げた14年4月に起こった駆け込み需要と反動減により「景気の回復力が弱まることとなった」とし、「需要変動の平準化」のための対策を行うとしている。軽減税率の導入や、適正な価格転嫁のために禁止した「消費税還元セール」の解禁、耐久消費財購入に対する減税等の措置などが挙げられている。
 増税に際しさまざまな景気対策を実施しなければならないこと自体、消費税が経済に対して大きなマイナス影響を及ぼす税であることを物語っている。
 14年の経済成長率はマイナスとなった。内閣府は「駆け込み需要」に対する反動減で3兆円、物価の実質上昇により2兆円の影響があったと試算し、成長率を押し下げたと分析している。反動減のインパクトも大きいが、重要なのは物価上昇による家計の消費、国民生活へのマイナス影響だ。

 図に実質賃金指数と消費者物価指数の推移を示した。14年を見ると、消費者物価指数は前年比3.2ポイント上昇し、その分実質賃金指数は2.9ポイント下落している。安倍政権以降、名目賃金は緩やかに上昇しているものの、物価上昇には追いついていない。実質賃金の減少に加え、社会保障改悪と負担増もあり消費を手控えざるを得ない中、消費税増税が国民生活の逼迫に拍車をかけている。

 

大企業に応分の負担を

 消費税増税で消費を冷やすことは、日本の経済も国民生活も壊すものだ。格差が拡大し、年収300万円以下の低所得層が増大するもと、消費税増税は低所得層の生活水準低下に直結する。また、GDPの6割を占める個人消費を抑制して経済成長はありえない。
賃上げと社会保障の充実によって所得の底上げを図り、消費を刺激することで内需主導の経済の好循環を作ることが必要だ。そのためには消費税率の引き上げではなく、法人税の引き下げや、研究開発減税などの行き過ぎた大企業への優遇を正すことがまず求められる。安倍政権のもと巨額の内部留保を積み増す大企業に対して、雇用と賃金の保障、また税・社会保険料の応分の負担を求めるべきだ。

以上