患者負担増を列挙 損税は税制対応示さず
―財務省・審議会が来年度予算に向け方針―
(全国保険医新聞2018年12月5日号より)
財務相の諮問機関である財政制度等審議会は11月20日、2019年度予算編成に向けて「建議」を取りまとめた。引き続き、医療・介護の削減・抑制を求めるとともに、19年10月からの消費税10%実施を強調している。
75歳以上の窓口負担2割「速やかに」
「建議」では、安倍政権が進めてきた“社会保障費の自然増を高齢化の伸びの範囲に抑える”方針を継続することともに、19年10月からの消費税10%の「確実な実施」を求めている。
医療・介護提供体制の改革や給付と負担の見直しを含む「制度全般にわたる改革」を着実に進める必要があるとし、社会保障全般の抑制・縮小を強調した。
75歳以上の窓口負担について、原則1割から2割に「できる限り速やかに」引き上げるべきと求めるとともに、3割負担(現役並み)となる対象者の拡大を主張している。「かかりつけ医以外を外来受診した場合」、「比較的軽微な受診」や「小額の受診」に対して患者に追加負担を課すこと―などもあげている。
入院時の食事等の負担について、介護保険の「補足給付と同様の仕組み」にすべきとしている。
介護保険では、配偶者が住民税課税や一定の預貯金等がある場合、利用者への公費補助がカットされている。
高額薬剤の保険外し
薬剤費をめぐり、高薬価の引き下げを主張する一方、湿布や漢方薬等での患者負担引き上げや、費用対効果の悪いもの、財政影響が大きい新薬は保険導入しないよう主張している。
4月から開始された国保財政運営の都道府県化では、高すぎる保険料を抑制するために自治体が独自に行う一般予算からの繰入を速やかに解消すべきと求めている。
医療機関の消費税問題は、与党は年内にも「税制上の抜本的解決」に向けて結論を得る構えだ。「建議」では、「医療保険制度内での対応」を求め、「ゼロ税率」など税制対応は認めない構えを示した。
以上