社会保障財源を考える E雇用改善で税収増へ
消費税増税に頼らない保団連の社会保障財源提案を連載で解説する。第6回は、雇用改善により税収と保険料を増やす方法を考える。(随時掲載)
1997年から2015年にかけて、欧米の先進諸国では、リーマンショック直後の09年前後での停滞・低下を除き、賃金上昇に見合う形でGDPが成長している。他方、日本だけが賃金が低下し、GDPも低下・停滞している。経済が成長していない結果、税収・保険料の自然増も見込めない状況にある。
失われた税収25兆円以上 日本でも賃上げがされてきた場合を想定してみよう。仮に、日本で、賃金が1997年から2015年までの間に、仏、独、伊の半分程度の水準1.2〜1.25倍(年率で平均1.0〜1.25%)に緩やかに引き上げられ、これらの国々と同様なペースで成長していた場合、GDPは1997年の約534兆円から2015年に約670兆〜716兆円に達する形になる。
抜本的な賃上げを 成長率は様々な要素に影響されるため、賃上げに伴うGDP増加額の機械的な試算には注意が必要である。しかし、先進諸国との比較からも、賃金の抑制が日本の経済成長や税収に与えてきた影響は相当に大きいことが示唆される。日本では、消費の6割を家計が占めるため、賃金抑制が及ぼす経済への影響は深刻である。 以上 |