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「研鑽」か「労働」か 現場任せ
医師の働き方改革 厚労省案に懸念

全国保険医新聞2018年12月5日号より)

 

 

 11月19日、厚労省は医師の働き方改革に関する検討会を開き、医師の研鑽と労働時間管理の具体案を提示した。「働き方改革」は、医師数増を前提としない考え方も示された。「研鑽」と「労働」との切り分けを医療現場の上司に委ね、繁雑な確認業務を現場に押しつける厚労省案への懸念や「医師数増なし」の前提に異論が出された。

 

前提に医師数増加なし

 厚労省は、医師の働き方改革の前提として、▽2025年以降に医療はピークアウトを見込み、医師需給は28年に均衡し、将来的に医師の仕事量が減少する▽医師養成には十年以上要する▽地域医療構想の機能分化・連携の推進▽当面は、医師数増加等の方向性は取りにくい―などの考えを示した。
 委員から「日本の医師数は、欧米に比べて少なく医師の過重労働を前提に医療提供が成り立っている。医師不足への対策が必要」との発言があり、医師数増なしの「働き方改革」に異論が出された。

 

医師が申告し上司が「確認」

 厚労省は、「医師の研鑽は医療水準の維持・向上に欠かせないもの」とした上で、「労働」に該当しない研鑽の類型とその手続きを示した。
 医師の研鑽が「労働」にあたるか否かは「使用者の指揮命令下に置かれた行為か否かで客観的に決まる」と原則を示すものの、業務上必要か否かの判断は「医療は高度に専門的である」などを理由に、医療現場の上司(管理職医師)に判断を委ねることとした。
 また、時間外に病院に居残り、診療ガイドラインの勉強など自主的に「研鑽」を行う場合でも、労働時間にカウントしないためには、研鑽を行う医師が上司に自己申告し、「労働」に該当しないことを上司が確認する手続きが望ましいとした。
 厚労省から示された確認手続きは、対象となる医師ごとに業務上必要か否かその都度判断が必要となる。そのため、委員から「具体的な行為が示されないと労働か否か判断できない」など現場への負担を懸念する意見が出された。

以上