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社会保障財源を考える F経済の好循環に寄与

全国保険医新聞2018年12月25日号より)

 

 

 消費税の増税に頼らない保団連の社会保障財源提案を連載で解説する。第7回(最終回)は、社会保障の充実が雇用・経済に与える効果について考える。

 

 厚生労働白書(2017年版)によれば、社会保障の持つ機能として▽生活のリスクに対応することで、生活が安定し安心をもたらし、いきいきとした生活を送ることができ、社会全体の活力につながる▽所得再分配に加え、所得の多寡にかかわらず、生活を支える基本的な社会サービスに国民が平等にアクセスできるようになる▽困った時には支援を受けられる安心をもたらすことで、消費を過度に萎縮させず経済を安定させる―などと説明している。中間層が減少し、民間企業で働く者のうち年収200万円以下が1100万人を超える中、医療・社会保障の抑制・削減は、消費を冷え込ませ景気停滞に拍車をかけている。

 

生産・雇用拡大に高い効果

 ある事業の生産増が産業全体の生産増に及ぼす効果を示す指標として「総波及効果」がある。厚生労働白書(2010年版)によれば、社会保障分野の「総波及効果」は公共事業より高い。当該事業の雇用増が産業全体の雇用創出に与える「雇用誘発効果」についても、社会保障分野は労働集約的であることから主要産業より高いとしている(図)。
 日本医師会は「医療に財源を投入すれば、特に医療従事者の比率が高い地方では経済の活性化により経済成長を促し、地方創生への多大な貢献につながる」と指摘している(2016年度医療政策シンポジウム)。医療・社会保障の充実は、生産・雇用を効果的に拡大するとともに、政府が掲げる地方創生にも寄与する。

以上