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残業上限年2000時間に―医師の働き方改革

全国保険医新聞2019年1月25日号より)

 

 

 厚労省は11日、医師の働き方に関する検討会で、救急、周産期の医療を担う医療機関の勤務医の時間外労働を年1,900時間〜2,000時間まで可能とする特例を提案した。一般労働者の時間外労働上限(月80時間・年960時間)の2倍となる特例に危惧の声が出された。厚労省は、3月末までに省令で定め、2024年4月から適用される。

 

政策医療、高度医療中心に

 厚労省の推計(2016年)では、病院勤務医約20万人の1割にあたる約2万人の時間外労働が年1920時間を超過しており、年2,880時間を超える医師は全体の約2%(3,600人)である。
 そのため、厚労省は、時間外労働が年1,920時間超となる医師が働く医療機関を重点的に支援し、2024年4月までの5年間で1,920時間超の時間外労働を解消する。
 また、救急、周産期など政策医療や高度医療などを担う医療機関を対象に時間外労働を年1,900時間から2,000時間(休日労働を含む)まで可能とする特例を提案。
 対象医療機関には、6時間の睡眠時間の確保、9時間の勤務間インターバル、28時間以内の連続勤務時間制限を義務付ける。

 

勤務負担軽減は医師数増で

 検討会では、労働組合の委員から「過労死認定基準を大きく超えており、あまりにも長い」との批判や、病院団体の委員から「医師は2,000時間まで働いてもいいと誤解を招く」と懸念が示された。
 厚労省は、労働時間短縮の具体策として、患者の医療のかかり方の適正化とともに、タスクシフト・タスクシェア、ICT等の活用など医療機関の経営努力や意識改革を掲げているが、「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」では、46%の医療機関が「当直明け勤務負担緩和」の検討に着手しておらず、その理由として3割の医療機関が「追加で必要な人員確保が困難」と回答した。
 医師の勤務環境改善のため医師数の抜本的な増員に総力を上げるべきだ。

以上