マイナンバーカード 医療機関に持込
― カード紛失、漏洩のリスク懸念 ―
(全国保険医新聞2019年3月15日号より)
オンライン資格確認導入で
2月15日に国会提出された医療保険制度改革関連法案では、オンライン資格確認導入に関わり、マイナンバーカードを保険証として利用可能とする制度整備が盛り込まれた。カード紛失、マイナンバー漏洩などが懸念され、医療現場にマイナンバーカードを持ち込むことは問題である。
番号カードを保険証利用
法案には、患者の受診時などに、医療機関が保険証の資格切れの有無を即時に確認できるオンライン資格確認の導入が盛り込まれるとともに、保険証に代えてマイナンバーカードによる受診でもオンラインでの資格確認を可能とする。
オンライン資格確認は、マイナンバーカードについては2021年3月頃、保険証については同年5月頃より開始を見込む。
現在、保険証は原則世帯別のところ、被保険者番号に2桁の番号を追加し、個人別とする。
個人別の被保険者番号に関わって、審査支払機関(支払基金・国保中央会)が、転職・引越等で加入する保険が変わる場合も含めて、各人の被保険者番号や負担割合などの資格情報の履歴を一括管理する。
医療機関は、審査支払機関に患者の保険証をネット経由で照会すれば、患者の資格情報がリアルタイムで確認できるというものだ。
さらに保険証に先行して、マイナンバーカードによる受診でも利用できるよう環境整備を図る。
保険証のみで足りる
医療機関が、マイナンバーカードでの受診に対応する場合、カードのICチップに埋め込まれた「電子証明書」を読み取る形となるため、ICカードリーダーの導入などが必要となる。
導入費用について、19年度から、消費税10%実施に伴う増税分を使い補助するとしている。
患者は、保険証、マイナンバーカードのいずれかで受診する形になるが、医療機関にマイナンバーカードが持ち込まれれば、院内でのカード紛失やマイナンバー漏洩の増大などが危惧される。
ネットでの患者の基本情報入力など一定の手間は要するが、保険証でもオンライン資格確認が可能となる以上、マイナンバーカードを保険証として使えるようにする必要性は皆無である。
医療を利用してカード普及
背景には、マイナンバーカードの普及率が国民の1割強(1467万枚)に留まる中、国民の多くが持つ保険証や運転免許証等としても利用できる環境整備を進めることで、カード普及率を高めたいとする政府の狙いがある。
経済財政諮問会議(2月26日)では、民間議員より、カード普及に向けて「保険証との一体化を着実に推進すべき」と提言している。
消費税を増税した上、番号カード普及に増税分を充てることや、医療を利用したカード普及などは到底認められない。
以上