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支払基金改革が国会審議
機械的審査増えかねない 査定増にモチベーション

全国保険医新聞2019年4月5日号より)

 

 

 今国会では社会保険診療報酬支払基金の改革に関する法案が提出され、▽コンピューター審査の拡大▽審査事務を47都道府県支部から全国10カ所程度に集約▽審査手数料の変更―などが審議される。厚労省が2月15日に提出した医療保険制度改革関連法案に含まれる。保団連は2月20日、機械的、画一的な審査や、支部集約化、レセプトの目的外使用をやめるよう厚労省に要請した。

 

9割をコンピューター審査に

 厚労省と支払基金が定めた計画では、現在、全レセプトの65%に留まるコンピューター審査を、2020年度までに90%程度に拡大することを目指すとしている。
 要請で厚労省の担当者は、現状で人が審査に関わっている3割程度の部分を改善するものと説明した。保団連は「機械的、画一的な審査をしなければ90%という目標は達成できない」と懸念を示し、その影響で査定が増えれば、医師・歯科医師の診療を萎縮させ、現場の裁量で患者に必要な医療を提供(現物給付)するという保険診療のあり方を否定すると強調した。

 

地域の特性おろそかに

 コンピューター審査の拡大による業務効率化などに合わせて、現在、47都道府県にある支払基金支部を再編する。医療担当者を含む審査委員会を本部(設置は都道府県)に移し、レセプト内容が算定告示・通知に合致するかを職員が点検する事務を、全国10カ所程度の事務センターに集約する。職員の2割程度の削減も見込まれる。
 保団連から、点検事務が地域から離れ人員も減りかねない中、自治体ごとに異なる子ども医療費助成など独自事業や再請求などに関して医療機関への丁寧な対応ができなくなる懸念を指摘。厚労省は、今後の検討課題と答えるに留まった。
 また保団連は、各支部で独自に設定されていたルールを5万項目廃止するとの報道にも触れ、気候や地理的特徴、生活風土など地域の特性を踏まえて審査が行われる重要性も強調した。

"歩合制"導入か

 支払基金の財政基盤である保険者からの審査手数料も変わる。現在はレセプト枚数で手数料が決まるが、審査内容等を勘案した設定が打ち出されている。査定の多いレセプトを出せば手数料も上がる「歩合制」になる懸念を保団連から指摘。厚労省はそうした事態を避ける担保はないと答えた。
 医療費増加を避けたい保険者からの手数料と審査内容がリンクすることで、支払基金側にも高額レセプトなどを査定するモチベーションが生じる懸念がある。

以上