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▼診療報酬20年改定へ議論開始
―年代別、世代別など新手法 |
(全国保険医新聞2019年4月25日号より)
中医協は4月10日に総会を開き、2020年診療報酬改定に向けた議論をスタートさせた。議論は、夏頃までの年代別、世代別などの切り口から横断的、総論的な議論を経た上で、秋以降に従来の外来、在宅、入院などの枠組みに沿って具体的な論点を深めていく予定だ。
小児から成人まで一貫した体制を
厚労省は総会で、0歳から19歳の年代の課題として、アトピー等のアレルギー性疾患が多いと指摘。特に小児期はアレルギーになりやすい子どもが成長につれて、さまざまなアレルギー疾患を発症する「アレルギーマーチ」への懸念が大きいとした。また、精神疾患も6年程で倍近くに増加したと報告。かかりつけ医を中心とした継続的、横断的な対応が必要だと強調した。現状の「小児かかりつけ診療料」は、「就学児には算定不可」、「3歳以上の患児はそれ以前から算定が必要」など、対象が限定されている。
こうした問題提起に対して、診療側委員で日本医師会常任理事の松本吉郎氏は、学校医との連携や、乳児検診等を活用した積極的介入による早期診断・治療の必要性を強調。また、小児精神科専門医師が少ない点も指摘し、小児精神科専門医師の養成に向けた支援の必要性も強調し、診療報酬での対応を厚労省に求めた。
院内助産に注目
総会では周産期医療を巡る状況についても報告された。厚労省は、晩婚化に伴い、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病、精神疾患などさまざまな疾患を持つハイリスクなケースが増加する一方で、分娩を扱う医療機関は減少傾向にある点を挙げ、産婦人科医の負担が過重になっていると報告した。
委員からは医療機関で助産師が分娩を支援する「院内助産」の重要性を指摘する意見も出た。院内助産は現時点で、分娩を取り扱う病院、診療所の9.4%で実施されているにすぎず、また都道府県間でも実施状況に差が大きい。日本医師会副会長の今村聡氏は「助産師の確保に当たり費用面での困難があれば診療報酬での手当てを検討すべき」とした。
妊婦加算「趣旨に誤りない」
厚労省はまた、今年から凍結されている妊婦加算に関する資料も示した。
妊婦加算は、診察時の妊産婦や胎児に対する特別の配慮を評価するために18年に新設された点数。しかし厚労省による患者や医療現場への制度の周知が不足し、患者の混乱や批判を呼んだ。昨年末に自民党厚労部会など強く見直しを求め、中医協などでの検討もなく、急遽凍結された。
妊婦加算について、診療側・支払側委員ともに「妊婦加算の趣旨に誤りはない」点で一致し、患者への周知に課題があったとした。日医常任理事の松本氏は、妊産婦の精神疾患は子どもへの虐待につながる恐れもあると指摘。「防止につながる診療行為への評価が必要」と述べた。
妊婦加算については今後、「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」の6月ごろの取りまとめを踏まえ、再度中医協で議論される見通しだ。
以上