審査の質 議論深まらず
審査委の全県設置を附帯決議
(全国保険医新聞2019年4月25日号より)
審査支払機関改革について、4月3日の衆議院厚労委員会では野党による質疑が行われた。支払基金の支部の集約化に関する実証テストで明らかになった課題などについて質問があったが、審査の質の担保に関する議論は深まらなかった。
法律から定款へ
立憲民主党衆院議員の西村智奈美氏、国民民主党衆院議員の大西健介氏の質問に対し根本匠厚労大臣は、支払基金の全国47都道府県の支部の再編・集約後も審査委員会は引き続き47都道府県に設置すると回答。附帯決議でも、そのために必要な措置を講ずることが盛り込まれた。
法改正により、47都道府県への審査委員会の設置は支払基金法の全県設置規定から、基金内部の規定事項(定款)に変更される。附帯決議を尊重し、引き続き全都道府県に設置することが必要だ。
実証テストの課題
日本共産党衆院議員の高橋千鶴子氏は、昨年行われた支部の再編・集約に関する実証テストで明らかになった課題について質問。実証テストは宮城、大阪、福岡の三つの支部で、近隣の各支部で行うべき審査に伴う業務を実施するというものだ。
支払基金理事長の神田裕二氏は、▽審査員と職員が同じレセプトを同時に見ることができず十分な連携が取れなかった▽紙レセプトを支部間で何回か送付・受け取りを確認する必要があり、予想以上に時間がかかった―などをあげたが、課題の解消に向けた具体策に言及はなかった。
医療費助成事業の受託は
また高橋氏は、支払基金は子ども医療費助成やひとり親家庭医療など各自治体ごとに異なる医療費助成事業を受託しており、支部の集約により受託できないことがあってはならないと指摘。神田氏は、これらの助成事業の重要性を認識し、引き続き受託に取り組んでいきたいと答弁するにとどまった。
以上