歯科技工料問題解決のためにB
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「7対3」大臣告示は、発出直後の1988年6月の疑義解釈で「個々の当事者を拘束するものでない」とされた。「7対3」大臣告示による委託技工取引の改善への期待もあった。しかし、実効性が担保されなかったことにより、低歯科技工料の解決にはならず、今日の歯科技工問題の深刻化に至っている。
具体的に見ると、「全部金属冠(大臼歯・金パラ)」の保険点数は454点(材料料を除く)であり、その7割の318点が歯科技工士の「製作技術料」となる(図)。前出の「2018歯科技工士実態調査報告書」では、実際の委託技工料金は「2,400円以上2,800円未満」よりも低い価格が大部分であり、3,180円を下回る取引が一般的であることがわかる。
保団連の「歯科技工所アンケート」でも「7対3」遵守を求める歯科技工士の声は強い。しかし、現在の低すぎる歯科診療報酬では歯科医院の経営上「7対3」では委託技工料を支払えないのも多くの歯科医院の実態だ。
厚労省は「7対3」大臣告示を示しながらも、それを実現するための歯科医師の技術料の適正な評価や取引ルールの整備を怠ってきた。行政として歯科医療改善と歯科技工問題解決のための実効的な対策をただちにとることが求められる。
以上