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「バブル期超える税収増」の実像

全国保険医新聞2019年9月5日号より)

 

 財務省は7月31日、2018年度決算(概要)で国税収入が60兆3563億円と発表。マスコミでは税収がバブル期を超え過去最高と報じられた。政府はアベノミクスで景気好調が原因と説明する。その実像に迫る。

 

 景気が好調で消費が拡大し、企業利益や国民所得が向上すれば、消費税だけでなく、所得税と法人税が増収となる。
 国税収入の大半を占める基幹3税(所得税、法人税、消費税)について、バブル期の1990年度と2018年度を比較した(図1)。
 3税の収入合計はほぼ同じで約50兆だが、消費税が13兆円増加する一方、所得税と法人税は12.1兆円減少している。政府は「景気好調」と宣伝するが「消費税頼み」が現実だ。

 

法人税―利益増でも税収減?

 大企業(資本金10億以上)の経常利益は、17年度は46兆2000億円。1990年度の2.4倍に拡大した。一方、法人税収は90年度の18兆4000億円に対し17年度は11兆9900億円と大幅に減少した。法人税率がほぼ半減した(図2)ことが法人税減収の原因だ。

 

所得税―高所得でも負担率低?

 所得税収は90年度の26兆円に対し、18年度は19兆9000億円に減少した。最高税率が86年の70%から45%に引き下げられたことなどが税収減の原因だ。
 高所得層ほど株式売買などで利益を得ているが、その利益への課税税率は15%で済んでしまう。そのため所得階層が1億円以上ではかえって税負担率が下がる(図3)。

 

法人税、所得税率の是正必要

 保団連は、▽所得税の最高税率を60%に戻す▽金融所得への優遇税制を廃止する▽法人税率を消費税導入前の42%に戻す―など提案している。低所得者に負担が重い消費税ではなく、所得税、法人税の税率を引き上げ税収を確保していくことが必要だ。

以上