過労死生む医師不足にメス―医師の働き方改革
厚労省の検討会が今年3月28日に取りまとめた医師の働き方改革に関する報告書では、2035年度までは過労死ラインを超える時間外労働を容認するものとなっている。勤務医の異常な長時間労働は1980年代以降に政府が進めた医師数抑制策の結果生じた医師不足によるものだ。医師の働き方改革のためには、医師養成数の抜本増への転換、当面の課題としての勤務医業務の移管や共同化が必要だ。またそのために診療報酬引き上げなどの財政保障も求められる。
過労死ライン容認の異常 同報告書では、勤務医に適用される時間外労働の水準について、一般の勤務医は過労死ラインとなる年960時間までの延長が可能とされた。さらに、救急や周産期など「地域医療の確保に必要」な特定医療機関に勤務する勤務医や研修医らは、過労死ラインの2倍近い年1,860時間までの時間外労働を2035年度まで可能とされた。研修医については特例の終了年限すら設けられていない。
OECDと比較して医師10万人不足 過労死ラインを超えた勤務医の異常な長時間労働を招いた原因は、絶対的な医師不足にある。
財政保障は不可決 医師の養成には10年以上かかり、すぐに医師を増やすことはできない。当面の対策として、地域への定着率が高い医学部地域枠の拡充、医師の業務移管や共同化(タスクシフト・タスクシェア)、患者教育、ICTの活用などを通じて勤務医の負担軽減を進める必要がある。 以上 |