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歯科医療費の総枠拡大を ― 窮状打開のために

全国保険医新聞2019年9月5日号より)

 

 国民医療費全体に対する歯科医療費のシェアは減少し続けている。低い歯科診療報酬は、歯科医療機関の経営難を招いている。口腔の健康は全身の健康につながっていることを政府も認識するようになった今、歯科医療の役割にふさわしい歯科医療費の拡大が必要だ。

 

 「長年、保険点数が低いままにとどまっている」
 「すでに普及し、定着している技術、材料が保険適用されていない」
 「歯科衛生士が雇えない」
 「歯科技工士に十分な技工料を払えない」

 先生方のこれらの悩みの原因は一つ。長年、低いままで抑えられてきた歯科医療費にある。
グラフを見てのとおり、長期的な傾向を見ると、国民医療費の総額は右肩上がりなのに対し、歯科医療費は横ばいが続く。その結果、国民医療費全体に対する歯科医療費のシェアは、減少し続けている。
近年、政府も骨太方針で「歯科口腔保健の充実、歯科保健医療提供体制の構築」を記載したように、歯科医療を位置付けはじめている。社会的にも口腔の健康は全身の健康につながっていることが認識されるようになってきている。
必要なのは、歯科医療の果たす役割にふさわしい歯科医療費の拡大である。

 

総義歯点数40%増勝ち取る

 1992年。保団連と多くの団体が共同して取り組んだ「保険で良い入れ歯」の運動は、総義歯点数の40%アップを勝ち取る成果をあげた。当時の国民医療費は約23兆5000億円。そのうち歯科医療費は約2兆3000億円で、国民医療費に対する構成比は9.8%だった。
 それが直近の2017年では、国民医療費が約42兆2000億円(92年からの伸びは1.80倍)に対し、歯科医療費は約2兆9000億円(92年からの伸びは1.26倍)で、国民医療費に対する構成比は6.9%である。92年当時の9.8%を現在の国民医療費に換算すれば、現在の歯科医療費は約4兆1000憶円になる。これぐらい歯科医療費が拡大すれば、最初に触れた歯科の窮状を打開する展望が開ける。
 保団連は6月6日、国会内で「保険でより良い歯科医療を求める国会内集会」を開催、350人が参加した。参加者は「歯科医療費の総枠拡大」を求め、全国会議員の3分の2にあたる503人の国会議員に要請した。「保険でより良い歯科医療を求める」請願署名、厚労省要請、国会議員要請など、歯科医療費の総枠拡大を目指して、あらゆる取り組みを行っていく。

以上