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動き始めた患者負担増
介護は今年、医療は来年 議論本格化

全国保険医新聞2019年9月15日号より)

 

 参院選を終え政府は、医療・介護など社会保障分野の負担増・給付削減の議論を本格化させる。年内は介護などの改革メニューを取りまとめ年明けの通常国会に法案を提出する。医療は2020年の「骨太方針」に向けて取りまとめ21年度の法改正を目指す構えだ。患者・利用者が必要なサービスを受けられなくなる事態が懸念される。

 

介護予防に逆行

 8月28日の介護保険部会では、負担増・保険外しのメニューが並んだ。▽ケアプラン作成有料化▽利用者負担2割、3割の対象拡大▽要介護1、2の生活援助、通所介護の保険外し▽介護施設の居住費・食費補助の負担増―などが提案された。
サービス利用抑制や打ち切りで介護度が悪化するなど、政府が進める介護予防にも逆行する。また、施設利用を抑制し家族へのしわ寄せや介護離職が増加する懸念もある。

 

重症化招く

 医療では、75歳以上の窓口負担を2割に引き上げるかどうかが焦点のひとつ。政府は現役世代との負担の公平を図るなどとして高齢者の医療費窓口負担割合を引き上げるとともに、「現役並み所得」とされる範囲も拡大させてきた。
 75歳以上の高齢者の約8割が2疾患以上の慢性疾患を併発させ、3疾患以上の併発も約6割いるとの指摘もある。窓口2割負担化は受診抑制や治療中断による重症化につながりかねない。
 薬剤の自己負担増も狙われている。例えば漢方薬、ビタミン剤、保湿剤、花粉症治療薬など市販品類似薬の保険外しなどが取りざたされている。
 薬が保険適用されなくなると、患者負担は数倍に膨らむ。また、誤った自己判断での服薬や副作用の見落としなどによる健康被害が生じる危険もある。医療上必要な薬は、早期の受診、医師の診断の下、投薬管理されることが大切だ。

 

負担増は中止に

生活費が不足

 高齢者世帯の半数以上は公的年金収入のみで暮らしている。総務省の家計調査によれば、高齢夫婦世帯では生活費が足りず毎月約5万5,000円貯蓄を切り崩しているのが現状だ。
 政府が公表した年金の財政検証によれば、標準的なケースで厚生年金の所得代替率(現役世代の手取り収入に対する年金給付水準)が現在の61.7%から、47年度には50.8%に低下し、現在より2割近く目減りする。
 高齢者の生活費削減に、医療、介護の負担増が追い打ちをかける。
 政府は社会保障改革の問題で安倍首相を議長とする新しい会議を設置する方針だ。今後の動向に注視が必要だ。保団連は患者・利用者の命と健康を守るため、負担増・給付削減計画の中止を求めている。

以上