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社会保障充実はまやかし「貧困高齢者1000万人超える」
会長・理事長会議で唐鎌・立命大教授

全国保険医新聞2019年11月25日号より)

 

記念講演する唐鎌氏

 保団連は10月19日、20日に東京都内で全国会長・理事長会議を開催し65人が参加した。立命館大学特任教授の唐鎌直義氏が「社会保障削減で深刻化する高齢者の貧困」をテーマに記念講演した。

 

 家計調査では高齢者一人当たり社会保障給付費は2012年から15年の3年間で11万円も減額されている。唐鎌氏は「政府は社会保障を充実と言うが、まやかしだ」と批判した。

 

受診抑制続く

 医療でも15年の一人当たり高齢者医療費は、58万円だが、2000年の69万円に比べ11万円も削減されている。「この間の高齢者医療費の窓口負担増で受診抑制が続いた結果だ」と解説した。
 また、同時期の一人当たりの年金給付額は11万円も減額されている。その結果、高齢者世帯の収入が160万円未満となる貧困世帯は、2009年で496万世帯だったが、16年は653万世帯へ急拡大した。
 唐鎌氏は「貧困高齢者は早晩1000万人を超える」と推計。安倍内閣の社会保障切り捨て政策で高齢者の貧困が深刻化していることに警鐘をならした。

 

社会支出は最低

 社会保障給付費の国際比較について、唐鎌氏は一人当たりの社会支出は欧米諸国と比べても低く、特に貧困対策が不十分と指摘。消費税は「8%増税時の増収分7兆円のうち社会保障には2兆円しか使われていない。家計調査でも増税は低所得で食費の支出割合が高い高齢者に追い打ちを掛けている」と述べ、富裕層や大企業への適正課税や軍事費削減などで財源を捻出すべきとした。

以上