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汚職にまみれたカジノ推進―世論は反対が多数

全国保険医新聞2020年1月25日号より)

 

依存症の拡大を懸念

 安倍政権は、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業を成長戦略の柱に掲げ、国内最大3カ所でIR整備を進めている。昨年末にIR法成立当時のIR担当副大臣、秋元司衆院議員が、カジノ事業に進出を狙う中国企業関係者から賄賂を受け取ったとして逮捕された。カジノ推進の中心となった議員の逮捕は、政策の正当性が根幹から問われる事態である。ギャンブル依存症の増加や治安の悪化の増加などが懸念されるカジノ推進は中止すべきだ。

 

 秋元議員はカジノ推進議連の副幹事長でカジノ推進の中心人物。同議連の自民、維新の議員ら5人も事情聴取を受け、日本維新の会の下地幹郎衆院議員(その後同党から除名)が中国企業からの金銭受領を認めた。菅義偉官房長官はIR事業に関わる政治家・官僚と企業との接触は「一概に禁止されるものではない」と述べ、安倍政権は1月7日にカジノを統制するカジノ管理委員会を設置し、IR事業を予定通りに進める姿勢を崩していない。
 これまで横浜市、大阪府・市、和歌山県、長崎県が誘致を表明しており、北海道、千葉市、東京都、名古屋市も「予定」「検討」としていたが、自然環境への影響を理由に昨年、北海道が誘致を断念。千葉市も今年に入り台風・豪雨被害の復興優先を理由に断念した。

 

生活圏への誘致反対が8割

 日本世論調査会が昨年12月7、8日に実施した世論調査では、IR整備への反対が64.6%と、賛成の31.7%を大きく上回った。反対の理由としては、「ギャンブル依存症の人が増える」が63.5%で最も多く、「治安悪化や渋滞など生活環境の悪化につながる」が47.8%、「未成年に悪影響がある」が37.0%と続く。自分が住む市町村や生活圏へのIR整備は、反対が77.4%に及んだ。共同通信が1月11、12日に実施した世論調査でも、IR整備を「見直すべきだ」との回答が70.6%に達している。
 カジノの本質は刑法が禁じる賭博であり、ギャンブル依存症で多額の借金を背負い生活の崩壊に至る人々を多く生み出す危険が大きい。市民を犠牲にして得られた収益を自治体の財源とすること、ギャンブル依存症を蔓延させることは医療人として断じて認めることはできない。

 

カジノ是非問う住民投票へ―横浜で市民集会開催

 

 神奈川協会も賛同するカジノの是非を決める横浜市民の会は12月22日、横浜市の山下公園でカジノの是非を問う市民集会を開催した。集会参加者は2,000人。協会からは藤田倫成理事、洞澤繁横浜支部長と事務局が参加した。
 集会では主催者が、住民投票条例制定の直接請求署名の協力者である受任者が5万人に達したらスタートさせると発表。賛同団体の1つであるカジノ誘致反対横浜連絡会は、受任者を2万人近く集めていると報告。さらに1月には3万人の受任者を目指すと決意を表した。
 当日は慶応大学の小林節名誉教授や元経産官僚の古賀茂明氏らが登壇し、カジノ誘致阻止運動へエールを送った。さらに、カジノ誘致に反対する立憲民主党や日本共産党などの国会・地方議員が、集会の直前にIR贈収賄容疑で逮捕された秋元司衆院議員について触れ、事件の徹底解明と権にまみれたIR法の廃止を訴えた。

 

カジノ作らないことが依存症対策

 協会からは藤田理事がギャンブル依存症の問題を発言。ギャンブル依存症に対する薬剤はなく、カジノを作らないことが一番のギャンブル依存症対策だと強調。集会終了後に記者らの取材を受けた。
 カジノの是非を問う住民投票条例制定を求める直接請求署名は、遅くとも2020年5月には開始する。現在、直接請求署名を行う受任者を募集しており、横浜市民の会では約2万人の受任者を集約している。神奈川協会でも横浜市の会員に向けて受任者への協力依頼を年末から開始した。

住民投票条例制定に向けた募金協力のお願い

 神奈川協会は「カジノの是非を決める横浜市民の会」(略称:横浜市民の会)の賛同団体となり、カジノ誘致の是非を問う住民投票条例制定のための直接請求運動に取り組み、運動募金を募っています。
 ご協力いただいた募金は署名を集める費用として横浜市民の会で使わせていただきます。

【送金先口座】
横浜銀行横浜駅前支店 
店番号383 口座番号0181890
神奈川県保険医協会 実行委員会
1口 3000円

 

以上