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医療界から懸念
75歳以上の窓口負担2割導入、紹介状なし病院受診の負担増

全国保険医新聞2020年2月15日号より)

 

 政府は「75歳以上の窓口負担2割導入」「紹介状がない大病院受診時の定額負担拡大」について夏までに具体的内容を取りまとめる。医療界からは異論・懸念の声が相次いでいる。

 

 現在、大学病院や400床以上の地域医療支援病院では、紹介状がない受診に対し窓口負担に5,000円を上乗せして徴収することなどが義務付けられている。政府の全世代型社会保障検討会議「中間報告」は、これを200床以上の一般病院にまで広げた上、上乗せ額も引き上げるよう提言している。一般病院全体の3割近くが対象になる。
 200床以上への大幅な拡大に対し、主要な病院団体で構成する日本病院団体協議会が反対する意思を表明したことに続き、年明け以降も傘下の病院団体から憤りや異論が相次いでいる。検討会議で病院団体の意見聴取がなかったことに加え、「小さな町では200床でかかりつけ医の機能を持つ病院もある」「かかりつけ機能を持つ病院に受診できないのはおかしな話。患者が大変な目にあう」など地域医療が崩壊しかねないと異論が相次いでいる。
 1月20日の社会保障審議会医療部会でも、200床以上への拡大に対し不満が噴出し、全日本病院協会の委員は「200床は中小病院。ケアミックスも多く、地域のかかりつけ医の役割を果たしている所もある。何の議論もなく200床とするのは危険だ」と指摘している。一般病院の外来機能の大幅縮小となれば、地域の開業医の高齢化や継承問題も取りざたされる中、地域で患者の通院先に支障を来すなど地域医療が根底から揺らぎかねない。

 

高齢者負担増で重症化も 

 1月31日の同医療保険部会では、保険者や経済団体の委員から負担増の実行を迫る意見が出された一方、日本医師会の委員は、ワンコインの受診時定額負担や医薬品の給付範囲の削減について反対を表明するとともに、75歳以上の窓口負担2割導入について「政治問題とならないよう慎重に検討すべき」と求めた。日本歯科医師会の委員も「負担増による受診抑制で重症化し、かえって医療・介護費用を増大させる」と指摘した。

以上