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金パラ急騰で制度改正
価格急変時の改定を新設も抜本解決にならず

全国保険医新聞2020年4月5日号より)

 

 歯科用金銀パラジウム合金(金パラ)の価格高騰への対応が3月25日の中医協で承認された。従来の6カ月ごとの改定に加え、3カ月ごとに15%超の価格変動があった場合の改定を新設する。金パラの実勢価格が保険償還価格を上回る「逆ザヤ」解消を求める現場の声に対応したものだが、抜本解決には程遠い内容だ。全国保険医団体連合会(保団連)はさらなる制度改善を求め、取り組みを強化していく。

 

現場の声が厚労省動かす

 今回中医協で承認された対応では、6カ月ごとの従来の改定を「随時改定T」として、3カ月ごとに15%を超える価格変動があれば改定を実施する「随時改定U」が新たに設けられる(図)。
 金パラの価格をめぐっては、4月の基準材料価格改定が3月5日に告示され、30グラムあたり6万2,490円に引き上げられることとなった。一方、保団連の「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」では、2月の購入価格平均は8万4,417円(3月30日時点)となっており、改定時点で2万円を超える「逆ザヤ」という状況だった。実態にまったく見合わない改定に対し、保団連が呼び掛けた会員署名などを通じて強い怒りが寄せられた。
 今次の対応は、現場の切実な声が厚労省を一定の対応に動かしたものだ。

 

「逆ザヤ」の可能性はそのまま

 2018年4月の基準材料価格改定から19年10月の消費税対応の基準材料価格改定まで、金パラの市場価格の上昇にもかかわらず随時改定は一度も実施されなかった。その間、価格変動が5%を超えないとされ「逆ザヤ」は拡大し続けてきた。
 新設される3カ月の短期間で15%超という大きな変動時の対応は、現在のような短期的な激変下では保険償還価格と市場実勢価格の乖離を緩和しうるが、一定の変動幅内ではこれまで同様に「逆ザヤ」が続く可能性はなくならない。

 

制度の問題に踏み込まない対応

 そもそも随時改定には、合金の市場実勢価格を調べずに素材となる金属の価格変動から保険償還価格を決める点や、金属の値動きの参照期間から改定実施までに大きな値動きが起こり得るタイムラグがある点、価格変動が一定の範囲内であれば改定が見送られ乖離が放置される点など、根本的な問題がある。
 乖離を極力小さくするため、制度の抱える問題の改善こそが肝要だが、今次の対応は随時改定の問題点には一切踏み込んでいない。
 保団連は、3月30日、「金パラ『逆ザヤ』抜本解決には程遠い改正」とした談話を発表し、今次対応の評価と問題点を指摘。引き続き制度改善を求め取り組みを進める。

以上