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医科・歯科 8割以上が減収―新型コロナ影響調査(速報)
第2波に向け減収補填を

全国保険医新聞2020年6月5日号より)

 

 保団連は、4月末から各協会・医会の会員医療機関を対象に「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」を実施。5月25日の記者会見で第1次集計(速報)を発表した。速報では、外来患者数や保険診療収入の減少により、医療機関の日常診療の維持、経営に大きな影響が及んでいることが明らかになった。保団連は引き続き集計を進め、医療機関の減収補償を政府に求めていく

 

 「緊急アンケート」は4月28日から各協会・医会の会員医療機関に調査した。速報は、5月14日までに寄せられた回答(約5,600件)を第1次集計分とし、その一部(約3,600件)を集計したもの。

9割が患者減

 速報では、4月の診療実績で、外来患者数が前年4月比で「減った」との回答が、医科の医療機関で87.4%、歯科では87.5%となった。「減った」との回答のうち、およそ3割(医科29.3%、歯科26.4%)の医療機関で外来患者数が30%以上減少している。
 前年4月と比べた今年4月の保険診療収入は、医科では86.5%、歯科では82.5%が「減った」と回答。「減った」との回答のうち、医科26.1%、歯科23.2%の医療機関で30%以上の減少となった(図1、図2)。6月以降の医療機関の資金繰りに大きな影響を及ぼすことが予測される。
 個別の医療機関の存続はもちろん、地域医療と国民の健康を確保するためにも、前年度診療報酬支払額に基づく概算請求の適用など、減収分を補填する緊急の手当が求められる。

 

防護服「在庫なし」4割以上

 物資については、医療用マスクは依然として不足の状況が続いている。「既に在庫なし」も含め、「在庫1カ月以内」が、医科では62.7%、歯科で47.8%だった。防護服は「在庫なし」が、医科43.7%、歯科49.1%と、不足が特に顕著だ。
 医療機関が万全の感染防止策をとれるようにすることは、患者さんの不安や受診控えの解消につながる。医療用マスクをはじめとする感染防護用品を国の責任で確保し、すべての医療機関に早急に供給することが求められる。

 

46%が損失補償を要望

 アンケートでは、国・自治体等に創設・拡充を希望する支援策を聞いた。7割の医療機関が支援策を要望。複数回答で、「損失への補償」(46.6%)、「人件費への補助」(40.8%)が多かった。
 自由記述欄には、患者さんへの影響として「受診控えによる症状の悪化を懸念」が目立った。医院経営の点からは「閉院を考える」との声や、「歯医者は感染リスクが高い」といった風評被害を受けているとの声が寄せられた。
 新型コロナ感染症は今後第2波、第3波も予想されている。感染拡大に適切に対応するためにも、医療機関の立て直しは急務だ。当面、減収分の国による補填など医療機関への緊急の助成が必要だ。

以上