第2波備え医療整備を 早急な減収補填策こそ
(全国保険医新聞2020年6月25日号より)
新型コロナウイルス対策として編成された第2次補正予算が6月12日に成立した。全国保険医団体連合会(保団連)をはじめ日医、日歯、病院団体からは診療報酬の概算払いなど医療機関の減収補填を求める声が強く上がっているが、同予算には盛り込まれていない。第2波に備えて、検査体制の強化とともに医療体制の整備が急務だ。このままでは地域医療の維持に支障が起きかねない。
安倍首相は国会答弁で「政府としてコロナ対応を行う医療機関や地域の医療を支える医療機関に対して強力な支援を行う」しているが、補正予算に盛り込まれているのは、空床確保料の補助、高度医療向けの設備整備の支援など感染者を受け入れている重点医療機関への対策が中心である。感染防止対策の費用に対する実費補助はあるが、医科・歯科の無床診療所では上限100万円である。医療従事者への5〜20万円の慰労金はあるが、減収補填とは主旨が違う。
政府は、5月診療分の診療報酬については6月下旬に過去の診療実績による概算前払を行うが、医療機関は融資等を受けて7月以降に前払い分を返金しなくてはならない。この制度すら、全国で申請は病院、医科・歯科診療所合わせて1,500件程度と言われている。日本病院会は、6月10日の要請書で「収入増の見込みが立たない限り、短期的な資金調達をしても返済の見込みが立たないことから借り入れを起こすより医療を縮小する方向に進むことが予測されます」と第1波で疲弊した医療機関の立て直しにはならないと批判している。
同予算の10兆円の予備費を使って、減収額に応じた支援や前年の診療実績に基づく概算請求など早急な減収補填策を閉会中審議で検討すべきだ。
以上