基金、国保 5月診療分4月より減少
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支払基金と国保連合会が発表した2020年5月診療分の診療報酬点数は前年同月より減少した。減少幅は4月より大きい。一方、2次補正予算による各種支援金・交付金は、申請手続きの煩雑さなどから支給が遅れている。支給の迅速化とともに、第2波、第3波に向けて、医療機関への緊急減収補填策が求められている。
5月診療分は前年同月比で下図のように金額で入院が10.1%、1448億円の減、入院外が15.9%、2095億円の減、歯科が15.7%、394億円の減、となった。減少率はいずれも4月分より大きくなっている。入院、入院外、歯科の合計では、5月分の減少額は3937億円で4月分の3215億円を上回っている。
支払基金の統計では、都道府県別の件数、点数が公表されている。それを基にした前年同月比の減少率が左表である。
4月分は、入院、入院外、歯科ともに点数で減少率が一番大きかったのは東京であったが、5月分では入院が兵庫15.8%減、大阪15.3%減、入院外が石川23.9%減、富山22.6%減、歯科が石川20.5%減、東京19.4%減の順となった。
経済活動の再開に伴って、全国的に新たな感染者が増加傾向にある。病床確保など医療供給体制の整備が求められているが、このままでは経済的な医療崩壊が危ぶまれる。また、受診手控えの結果、慢性疾患の悪化、ガンなどの進行、歯周病の重症化による抜歯ケースの増加などが報告されている。
地域医療の立て直しのために、医療機関への財政支援が急務となっているにも関わらず、各種支援金・交付金の支給は遅れている。例えば、感染者を受け入れた医療機関への財政支援の柱である空床補填は、25都道府県で交付のめどさえ立っていない(読売8月7日付報道)。
政府はこうした事態の改善策を早急に示すべきである。
支援金・交付金は、手続きが複雑で行政の実務負担と同時に医療機関に届くまでに数カ月かかることが明らかになった。4月、5月のような医療崩壊の危機となった場合には、過去の診療実績による減収補填策として、診療報酬の概算払いを認めるべきである。
以上