ドライブスルー(コロナ検体採取)における
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図1 PCR 検査用手袋付カーテン (Gifu CURTAIN) |
検査担当医師が ア)腕を入れる手袋部分と、 イ)検体を取り出す小さな穴が開いて おり、検体回収までポストイットで 穴をふさいでいます。 |
図2 |
受付で窓を下記のビニールカーテンで覆います ※その後、窓を開ける |
図3 |
3重ブロック @頭袋 A Gifu CUATAIN B扇風機 による送風 |
図4 |
予め、穴の外側にポストイットを貼っておき、検体回収時のみポストイットを開ける |
上記の1)−3)で報告した内容を簡単に振り返ると、鼻腔・咽頭からの検体採取に際し、患者が発する可能性がある咳・くしゃみをいかに防ぐかに関して@患者に鼻腔の位置に相当する部位に綿棒挿入用の穴をあけたビニール袋(頭袋)をかぶせるA患者が載っている車の窓にミトン型手袋付き・検体回収用の穴付きビニールカーテン(Gifu CURTAIN)を貼る(図1、2)B検体採取する医師(以下 検者)の背側・側方から扇風機で風を流す(図3)、CGifu CURTAINの検体回収用の穴にポストイットを外側から貼り、検体を回収する時のみポストイットをめくって穴を開ける(図4)、ことにより、患者が発するかもしれない飛沫に暴露する可能性をゼロに抑える方法である。
患者が発する飛沫の飛散・拡散は、かなり大型のコンピュータで気温、湿度等も考慮して計算しなければならないので、我々は簡易的に、工具店で入手できるカラースプレーから発射される色素を飛沫に擬えて実験した4)。
・患者の咳・くしゃみはカラースプレー(発射源)の色素に相応
・検者はGifu CURTAINの後方に設置した白色のB紙に相応
・Gifu CURTAIN、扇風機は実物
スプレーから発せられた色素がGifu CURTAINを経てどのようにB紙に付着するか、発射源と穴の位置が直列か否か、扇風機による風の有無で、色素の付着がどのように変化するか紹介する(図5)。
A 色素を比較的重い飛沫と考えると、鼻腔の位置(発射源)と頭袋の穴、あるいは頭袋の穴の位置(新たな発射源)とGifu CURTAINの穴の位置が直列にならなければ、外部に飛散する色素は観察されない(図5)。
一方、軽い飛沫は慣性力で漂う可能性があるため、常時開放している穴からは外に拡散する可能性がある。しかし飛沫は軽いので、
B 扇風機により、容易に検者から遠方に飛散する。
実際の我々のドライブスルーでは、軽い飛沫の少量の飛散も問題として、ポストイットをGifu CURTAINの穴に貼って、検体回収時のみ一瞬ポストイットを外すようにしている。したがって、穴の開放時間が検体回収時の一瞬で短いため、車外にはほとんど漂わないと考えている。
C 頭袋の穴とGifu CURTAINの穴は別個に存在するため、2重の関門となりえ、直列であってもそこを潜り抜ける飛沫の量は激減すると考えられる(図6)。
種々の検体採取のマニュアルには、患者の正面に相対しない様に患者の側方か後方に立ち(検者が正面から咳・くしゃみを受けない)、発せられた場合は少しでも飛沫を防げるように風上に検者が立つよう指導されているが、上記理由で頭袋・Gifu CURTAIN・扇風機を使用した方法がはるかに安全である。
これは、今後発生するであろう、秋冬のインフルエンザ、新型インフルエンザの流行期における検体採取においても同様である。一般のクリニックを受診した感染症疑い患者に対しても、可能であれば患者の車を使用して、不可能であれば、クリニック外の屋外で、それも無理なら、診察室内において白い布が貼ってあるスクリーン衝立の布を外してGifu CURTAINを貼れば、はるかに検体採取における検者の安全性は高まると考えられる。
図5 |
文献 1)岐阜県医師会報 2020.7.1 P.26〜27 2)岐阜県保険医新聞 2020年7月10日 第509号 P.7 3)全国保険医新聞 2020年7月25日 第2831号 P.7 4)新医療 2020年8月号 P.52〜56 |
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以上