新型コロナ追加対策、1.6兆円を閣議決定
|
「新型コロナの診療をしていない医療機関を含めた広範な経営支援は今回、見送った」(「朝日」9月12日付)との報道にあるように、対象はコロナ対応医療機関のみである。歯科診療所への支援は全くない。安倍前首相は8月28日の記者会見で「インフルエンザ流行期にも十分な医療提供体制を必ず確保いたします」と述べたが、これを十分反映したものになっていない。
コロナ対応の有無にかかわらず医療機関は減収となっている。秋冬の感染者の増加に向けて、コロナ対応の医療体制の整備とともに、歯科を含めた通常の医療提供体制の確保が必要なことは、自民党の厚労部会やコロナ対策本部でも指摘されている。
広範な経営支援策を厚労省と財務省で協議中と伝えられているが、早急な措置が求められている。
「いま必要な財政措置」を表2にまとめた。
第1は、4月以降これまでの減収補填策である。
空床補填、慰労金、感染防止対策費など2次補正予算に盛り込まれた各種支援交付金を、一日も早く支給すること。申請、審査、支給の手続きが遅れている。
厚労省の調査では、慰労金は8月下旬から支給が始まっているものの、鹿児島県は10月下旬からである。コロナ感染者を入院させ最前線でたたかった病院への空床補填は、早いところでも支給開始は9月下旬からであり、年内にすべてに行き渡るかが危ぶまれる。
これらの各種支援金を受け取っても減収による経営難を補えない医療機関も多い。それらを対象にした新たな補填策を緊急に講じるべきだ。
第2は、秋冬の感染者増加に向けたこれからの対策である。
政府のコロナ追加対策で診療報酬の引き上げに関わるものは即効性があるが、申請手続きが必要なものは支給に数カ月を要する。
迅速、簡便な財政措置策としては、保団連をはじめ日医、日歯、病院団体が要求していた過去の診療実績による概算払いがある。すでに、4月診療分では実施済みであり、実績もある。4月分の概算払いは翌月以降に補填部分の返済が求められたが、それを免除すれば、減収補填策となる。
なお補填率について「コロナと闘う病院を支援する超党派議連」の8月12日の「提言」では、コロナ対応医療機関は100%補填、その他は80%補填を提案している。
補填財源は、保険者が認めれば医療保険財政から、認めない場合は2次補正の予備費から支出すればよい。概算払いを選択してもコロナ対応で損失が出る医療機関には、追加措置策を講ずるべきである。
以上