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オンライン診療の検証C

初診解禁に断固反対する

全国保険医新聞2020年11月15日号より)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大の下、初診からのオンライン診療が臨時的に解禁された。菅義偉首相は、恒久化を目指す方針を示しているが、疾患や重症化の見落としリスクなども指摘される。問題点や背景をシリーズで解説する。(最終回)

 

 検討会や中医協等での十分な検討が必要であり、医師や学会等が主導した調査・分析結果など安全性・有効性を十分に検討すべきと主張してきた。
 2020年度診療報酬改定ではオンライン診療の対象疾患に「慢性頭痛」が追加となった。同疾患の検討では、少なくとも対面診療と同等程度の安全性や治療効果がランダム化比較試験(RCT)等により示された上、医療技術評価分科会に提案書が提出され、さらに中医協の場で検討された上で保険適用に至る手続きが取られている。

 

初診解禁圧力の強まりを懸念

 10月8日に厚労、行革、IT担当3大臣によるオンライン初診解禁に向けた合意がされた。その後、11月2日に開催されたオンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会で厚労省は、3大臣合意に基づく提案を行ったが、解禁は困難との意見が大勢を占めている。
 しかし、同検討会では規制改革推進会議出身の委員の数が増えており、オンライン初診解禁圧力が強まることが懸念される。

 

安全性やエビデンスの蓄積は必須

 オンライン診療そのものの有効性は、まだ検証が始まったばかりだ。医学的なエビデンスの蓄積なしに、ただ「便利だから」、「患者の経済的負担が軽くなるから」という理由だけで、医療安全の確保を後景に追いやり、なし崩し的な保険適用拡大を認めることは絶対にあってはならない。
 オンライン診療の保険適用範囲の拡大は、医学的エビデンスに基づく慎重な議論が重要であり、現時点で初診を解禁するに足る医学的エビデンスは蓄積されていない。
 保団連は、オンライン診療初診解禁には断固反対する。

以上

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