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医師、患者から慎重意見相次ぐ― オンライン診療指針検討会

全国保険医新聞2020年11月15日号

 

 厚労省はオンライン初診のルール化に向けた指針検討会を11月2日に実施し、年内とりまとめに向け検討を拙速に進めている。初診ルール化に患者・診療側から慎重意見が相次いだ。安全性・有効性確保に向け検討課題が多く、初診解禁ありきで拙速に進めることは問題が多い。

 

 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会は、初診からのオンライン診療に向けた厚労、行革、IT担当3大臣による合意を受けて11月2日に開催された。
 厚労省は新型コロナが収束した後も初診も含めたオンライン診療を「原則解禁」し、電話による診療は除外する方向性を示した。その上で「安全性」、「信頼性」などで検討課題を示した。

 

新患のオンライン診療は怖い

 厚労省は、「安全性」について、▽腹痛等画像での診断が困難な症状がある▽過去の受診歴の無い完全新規の患者(新患)診療の場合の医療過誤のリスク―などの課題を提起した。患者側構成員から、「現時点でリスクが想定されているにも関わらず解禁は問題」との訴えが続出した。また、オンライン診療の実施は「医師・患者間でのリスク共有が前提となる。安全・安心の担保を最優先すべき」と指摘。新患のオンライン初診解禁には慎重な姿勢を示し、医師側構成員も同調した。
 新患へのオンライン初診は、以前の検討会でも解禁は困難との意見が大勢を占めており、今回の検討会で改めて懸念が示された。

 

主体は「かかりつけ医」を提起

 「信頼性」に係る課題では、顔見知りの医師による診療であれば信頼性は担保できるかとの論点が提起された。
 田村厚労大臣は「かかりつけ」医の実施で信頼性が担保されると言及している。これに対し、日医の今村構成員は「『新患』へのオンライン初診は困難」と改めて強調した上で、コロナ禍を契機に「かかりつけ医」の推進と併せ、「かかりつけ医」を中心としたオンライン診療の活用を主張した。
 検討会は年内に方向性を取りまとめるとしているが、オンライン診療の質を担保するためのモニタリング、患者の診療情報漏洩時の責任の所在など検討課題が多い。患者の健康に直接関わることから年内とりまとめや、拙速な議論は許されない。

 

以上

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