難病法見直し―疾病のデータ収集、
医師による登録導入
負担増軽減が課題
(全国保険医新聞2020年11月15日号)
難病法改正に向けて検討が進む。患者のデータ登録の促進を図るが、患者、医師の負担軽減が大きな課題となる。
難病患者の医療費助成を定めた難病法は、2015年1月施行5年以内をめどとした見直しを迎えている。国の厚生科学審議会では、検討作業班が作成した見直し案を基に、具体的な制度設計に向けて検討が進む。年内に取りまとめ、21年の通常国会に法案提出を目指す構えだ。
指定医が同意取得か
従来、医療費助成を受ける患者は診断書(臨床調査個人票)の提出が年1回義務付けられていた。難病法の下、助成対象となる指定難病の全てに重症度基準が導入され、「軽症」と判定されると助成が受けられなくなった。軽症者の臨個票が提出されなくなり、治療・研究の基礎となるデータベースへの登録が進まなくなっている。
本来、重症度基準を廃止し、軽症者への医療費助成を復活すべきところだが、代わりに臨個票を提出し、データ登録に同意する軽症者に対し、重症化した時に医療費助成の前倒しなどを可能とする「登録者証」(仮称)を発行することで、データ登録の促進を図る。
データ登録に当たっては、患者の同意が必要となる。現在は自治体が同意を取得しているが、見直し案では指定医が取ることが望ましいとしている。審議会でも、ワンストップで患者の負担が少ないとして、指定医が取得する案を推す声が多い。
患者へのデータ登録の内容やその意義、登録は任意といった説明など、指定医の負担・責任が大きくなることから、医療機関への手当てが求められる。合わせて、患者にとって負担となっている臨個票の作成・更新料に公費助成を行い無料化することなども必要だ。
オンライン登録導入
軽症者のデータ登録の促進にあたり、臨個票の作成・登録を担う指定医の負担軽減が必要となるため、新たに臨個票の項目について簡素化する。見直し案で「調査研究の意義を損なわない範囲」で簡素化するよう求めており、指定医の負担軽減との兼ね合いで慎重な検討が必要となる。
同様に、指定医、自治体の負担軽減に向けて、データ登録手続のオンライン化を進める。現在、患者から自治体に提出された臨個票について、自治体が患者からデータ登録の同意を得た後、その写しが国が委託した登録センターに送付され、登録される仕組みとなっている。
新たに、指定医がオンラインで登録センターに直接データを登録する仕組みを構築し、2020年度中の運用開始を目指す。セキュリティ確保に伴う手間などはじめ、「登録に係る負担を診療報酬等で評価すべき」との声が出ており、医師の負担軽減への手当てが求められる。
以上