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コロナ禍と医療現場

発熱外来の最前線で―待合室、診療室確保が課題

全国保険医新聞2020年12月5日号より)

 

 発熱患者の診療・検査を担う発熱外来が開始され、全国で2万4,629の医療機関(11月10日現在)が各都道府県から指定を受けた。感染第3波が流行する中、地域の医療機関がコロナの感染拡大防止を担う初めての取り組みとなる。発熱外来を設置した医療機関の試行錯誤、日常医療との両立など苦労や課題を紹介する。

 

発熱外来開設までの苦労 岐阜協会―永田内科・永田正和

 岐阜県では、20年10月5日より発熱・検査外来が始まり、各開業医でもPCR検査や抗原検査が実施できるようになりました。しかし、詳細の通達が突然であり、届出期限までの時間が短く大混乱を招きました。当院では、説明会の時に保健所からできるだけ長時間対応してほしいと依頼され、対応時間を通常の診察時間と同じ時間帯で届出しました。


カルテ用倉庫に換気扇、エアコンを設置(上)、発 熱外来の診療室を確保(下)。費用は約50万円

 ところが、国が示したQ&Aで、通常患者と発熱患者は場所だけでなく、時間帯も分けなければならないことを知り、急遽時間帯を午前11時半から12時、午後6時半から7時と診察終了30分前としました。

 

強風でテント崩壊

 動線を分ける必要性から、当初は庭にキャンプ用テントを建て、そこで検査する予定でしたが、強風でテントが倒れてしまい、建物の裏口にあるカルテ用の倉庫に急遽、内外入れ換え式の換気扇とエアコンを付けて診察室としました(写真)。

 

時間外も患者来院

 しかし、いくら動線を分け検査時間を入り口に掲示しても、発熱患者さんはかまわず受付にきます。一度帰宅してもらうか、別室に移ってもらうよう大慌てで対応しています。
 発熱患者は1日に何人もくるので、空床補償概念に基づいた補助制度では補助金はもらえないのではと毎日不安にかられています。診療実績に見合う診療報酬や補助金制度となるよう早急な改善を求めています。100万円の感染症対策補助金では到底足りません。

 

院内にコロナを入れない 京都山城総合医療センター感染管理認定看護師 藤井美奈子

オレンジ色の災害用テント
駐車場に設置した発熱外来
院外プレハブの発熱外来
自家用車で検査結果を待機
入口側にサーモカメラを設置

 当院は京都府南部、木津川市にある321床(感染病床10床)の地域中核病院で、発熱外来受診者は10月31日現在で645人です。
 発熱外来開設当初は、場所がなく感染病棟を緊急避難的に発熱外来としました。4月は感染病棟への入院患者受け入れに伴い発熱外来を院外プレハブ倉庫に移設しました。しかし、患者が増加し、待合室や診察場所の確保が困難となりました。症状の重い患者はPCR検査と鑑別診断が必要です。自家用車で待機してもらい、院内検査室等と時間調整を行い一般患者との接触を避けました。徒歩やバイク、直接来院患者の待合場所として災害テントを設営しました。

 

住民から苦情も

 5月、6月は政府の自粛政策もあり発熱外来患者は少し減少しました。オレンジ色の災害テントは目立ち「山城アラート」と言われ、一部住民から「駅前で怖いことしないで」と苦情が寄せられ、テントを撤去し、救急車両の待合場所にしました。病院入口は有熱者確認のため正面のみに制限し、すべての来院者に手動で検温を実施しました。
 7月に病院入口の一つの通路を入口、出口と分け、入口側にサーモカメラを設置。熱があれば院外の救急車両で対応し、一般患者に接触しないようにしました。コロナ問診票は当院オリジナルで14の質問を点数化。5点以上が発熱外来対象者になります。厳しい点数配分ですが発熱外来対象者を決めるツールとして威力を発揮しています。
 8月は患者数が徐々に増え、プレハブ倉庫前の狭い駐車場では対応不能となり、病院正面の駐車場5台分を使い、ドライブスルー式の発熱外来を設置しました。

 

炎天下で灼熱外来

問診、バイタル測定、検体採取、保険証確認、会計と一人の患者に時間を要しました。駐車場は屋外で、真夏の炎天下での作業は過酷を極め、「灼熱外来」と呼ばれました。
 現在は、元のプレハブ倉庫で発熱外来を実施しています。改善点は13時〜16時の予約制で保健所、開業医、発熱相談患者の検査のみ対応しています。事前カルテの作成、医療費後払い、ドライブスルーで15分に3件までと滞在時間を短くしました。9月に迅速抗原検査15分、PCR検査は1時間で結果が出る機器を導入し、患者への対応が短時間でできるようになりました。新型コロナとインフルエンザの同時流行も懸念される中、発熱外来は、感染症から一般患者を守る砦と自負しています。「病院内にコロナは入れない」を合言葉に職員一丸となり感染対策に取り組んでいます。

 

栃木 発熱難民出さないために 小山イーストクリニック 大橋博

 患者は別入口から隔離室に入室、中は、パーテーションで間仕切る。スタッフが隔離室に赴き診察、診察後はアルコール消毒を実施する。
抗原検査キット、IgM、IgG検査キットの他、PCR検査機器も導入した。
 予防衣、フェイスシールド、マスクを装着し、防護柵越しに採血する。受付は全面防護シールドを設置し、会計も自動精算機を導入し、スタッフと患者の接触を少なくした。

 当院の感染症対策は、10年前のSARSの流行を契機に、タイベックV型防護服・N95やサージカルマスク・フェイスシールド・アルコール消毒液・ビニール簡易防護服など十分量備蓄。今回のコロナ騒動の品不足でも、安心して乗り越えることができました。
 緊急事態宣言前より、マスクと予防衣を着用し、段階的にヘアキャップ・フェイスシールドを装着してきました。当初は、患者さんに「厳重だね」と驚かれることもありましたが、概ね「安心して受診できる」と評価されました。この冬に向けて、当院でも診療・検査医療機関の指定を受け、発熱検査や初期治療に備え、感染症診察室(4ブース)、屋外での鼻咽頭検査所の設置(屋根付き自転車置き場)を準備しています。

 

調剤もドライブスルー

 コロナ疑いの患者さんは、病院入口に設置したインターフォンで、感染症診察室に誘導し、問診や診察、検査を実施。抗原検査で30分、PCR検査で1時間待ち時間が出るので、自家用車での待機或いは一時帰宅し、隔離室の密を回避。門前薬局とも協力し、ドライブスルー調剤形式も採用しました。
 今後、新型コロナ感染の蓋然性が高い患者の急増を想定し、従来の隔離診察室と併せて、屋外のカーポートにシャワーカーテンを吊るし、強力な暖房器具を設置しました。いわゆる、テント式診療体制工事を実施しました。ドライブスルー"検査外来"も併設予定です。
 医療者が感染しないように注意しながら、検査のみでなく、診察、SpO2測定、必要な場合、60Lの大型ビニール袋を頭から被って感染リスクを下げた上で、胸部X-P撮影など実施し、発熱難民を出さないように努力していきます。

 

以上

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