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75歳以上2割負担は撤回を 与党にも慎重論広がる

全国保険医新聞2020年12月5日号

 

 75歳以上の窓口負担2割化は、具体的方針のとりまとめが年末にも行われようとしている。具体化を阻止するため、急速な世論の広がりが必要だ。政府内では対象の「線引き」をめぐる議論が続くが、受診抑制や高齢親族を支える現役世代の負担増にもつながるため、提案自体を撤回すべきである。

 

 11月26日に開催された厚労省の審議会では、2割負担の対象とする年収区分について、健康保険組合連合会副会長の佐野雅宏委員などから、低所得者(住民税非課税)を除く全員を2割にすべきとの意見が出された。これに対し日本医師会副会長の松原謙二委員は「暴論」と批判。日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は受診抑制を懸念し、全国老人クラブ連合会理事の兼子久委員も健康に悪影響と述べるなど、異論が相次いだ。

 

「1割維持」麻生氏も首相時に

 与党内にも慎重論が広がる。報道によれば、1日の自民党内の会合では、負担増については収入の少ない高齢者に配慮すべきなどの指摘が出されて意見がまとまらず、公明党の山口那津男代表も年内に結論を出す必要はないと述べている。
 現在多くの高齢者は、年金が目減りする中、貯金を切り崩したりしながら生計を立てているのが実態であり、負担増でさらに困窮が深刻となる。また、高齢になるほど疾病を多く抱え、医療費負担が増えるため、2008年の後期高齢者医療制度の創設時に、当時の麻生太郎首相(現財務相)は、原則1割負担を維持すると述べている。さらに、高齢親族を支える現役世代にも影響が出る。75歳以上の窓口負担2割化は、対象範囲の「線引き」ではなく撤回すべきだ。
 全国保険医団体連合会(保団連)は負担増を具体化させないため、取り組みをさらに強めていく。

 

コロナ禍の負担増に怒り

保団連理事・神奈川協会副理事長 馬場一郎

診療所で署名用紙を持つ馬場理事(左)
署名に協力してくれた患者さん(右)

 75歳以上の窓口負担2割化反対に旺盛に取り組む保団連の馬場一郎理事に話を聞いた。

 

 コロナ禍の今、さらなる負担増を押し付けようとしている政府には、怒りしかありません。75歳以上の患者負担2割化は、神奈川協会が呼び掛け人となっている医療費の窓口負担「ゼロの会」の趣旨にも反します。何としても阻止したいと思っています。
 自分の歯科医院では、診察が終わった後に患者さんに署名をお願いしています。「コロナで皆が大変なときに負担増はおかしいですよね」と話すと、断られることはほとんどありません。「自分は所得が低いから2割負担になることはない」と言う患者さんも、「今は一部の人だけが対象でも、いずれ皆が負担増になる危険がありますよ」と話すと、署名してくれました。話せば話すほど反対の声が広がると感じています。
 後期高齢者医療制度の創設は、国民の怒りを招き、2009年の政権交代につながりました。政府は負担増反対の世論を恐れているはずです。強く訴えていけば政府の姿勢はかならず変わるし、変えていけなければならないと思います。私たちの怒りをぶつけていきましょう。

以上

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