(全国保険医新聞2020年12月5日号より)
新型コロナウイルス感染第3波の中、地域の医療機関が発熱外来を設置し診療・検査に取り組んでいる。医療機関の試行錯誤、日常医療との両立など苦労や課題を紹介する。
長崎 来院前の連絡徹底が課題―櫻川循環器内科クリニック 櫻川 浩一郎
当院は長崎市郊外の無床診療所です。長崎県は幸い、他県に比べるとまだ感染拡大が抑えられています。現時点では発熱等の患者さんは入口すぐ横の面談室に入ってもらう形で対応しています。診察用ベッドと専用の聴診器やペンライト等を置いて、窓を開け換気をしながら診察に当たっています。
徒歩患者待機用にテント設置も しかし、今後は発熱患者さんの増加が予想されるため、車での待機、駐車場での問診という形を想定しています。隣の整形外科、薬局と共用で約40台の駐車場があります。ただ、徒歩で来院する患者さん用に裏に小さなテントも設置する予定です。いずれの患者さんも診察が必要な場合には面談室で対応しますが、複数名が同一の時間帯に来院した場合、よくフードコートなどでみかける呼び出し器を活用することにしました。あらかじめ患者さんに渡しておき、鳴ったら院内に入ってもらいます。
風評被害見過ごせないさらに、やはり風評被害の問題は見過ごせません。特にテントを建てるなど外から明らかに見える形をとることについては院内でも色々な意見がありました。ただ、患者さんの必要を考えると致し方ないことですし、社会全体の理解が進むことが望まれます。
愛知 クラスター防ぐ取組み―相川みんなの診療所 梶野 真一
新型コロナ感染症診療で一番大切なことは医療機関内でクラスターを発生させないことです。当院ではさまざまな対応をしています。
病態別に時差診療 診療はできる限りゾーニングするため、病態別に時間を分けて対応しています。午前、午後とも前半2時間は慢性疾患患者さんや、急性疾患でも感染症の疑いのない患者さんに対応し、後半1時間は急性疾患患者さんに対応します。
飛沫の心配なく検体採取コロナウイルスのPCR・抗原検査、インフルエンザ抗原検査、その他感染症の迅速検査も必要に応じて積極的に行っています。検体採取時に問題となる飛沫感染予防には当院では「シトー貿易株式会社」の「どこでも発熱外来」を使用しています。これは段ボールで簡易個室を作成したものですが、患者さんと医療従事者の間にビニール窓があり、長手袋を使用するだけで飛沫の心配なく検体を採取できる優れものです。PPEの着用も不要です。
事前に病状把握 院内滞在時間短縮のためにウェブ問診も採用しています。ウェブ問診は来院前にご自宅で問診票を記載するシステムですが、事前に大まかな病状を確認することができるため、来院時にすぐ必要な検査をオーダーしたり、処方内容もある程度入力しておくことができます。事前に病状をある程度把握することができるため、前もって急性疾患患者と思われる方には連絡し、来院時間を調整することもできます。その他の感染対策としてはコロナが感染拡大する以前に導入した自動精算レジも金銭のやり取りを直接しなくて済むため、感染防止に役立っています。 以上 |
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