GoToより感染拡大防止を
コロナ対策等3次補正予算案を閣議決定
(全国保険医新聞2020年12月25日号)
政府は新型コロナ感染拡大防止やポストコロナに向けた経済構造転換、防災・減災・国土強靭化などを柱とする第3次補正予算案を12月15日に閣議決定した。
コロナ対策と無縁の政策が目立つ
第3次補正予算案は総額19兆1000億円。ポストコロナの経済構造転換に11兆6766億円計上した。持続化給付金や家賃支援給付金など苦境に喘ぐ中小事業者への倒産・廃業防止の支援策は打ち切り、事業転換・生産性向上の基金創設などを盛り込んだ。グリーン社会の実現に向け基金創設(2兆円)やデジタル改革ではマイナンバーカード普及促進(1336億円)、防災等の公共事業(1兆6532億円)などコロナ対策とは無縁の施策が目立つ。
新型コロナ感染拡大防止に4兆3581億円計上したが予算全体の4分の1程度となる。医療提供確保や医療機関等への支援で1兆6447億円計上したが、うち1兆3011億円は、病床や宿泊施設の体制確保等など緊急包括支援金の追加分となる。
地域医療制確保は1142億円のみ
地域医療を立て直すための支援策は感染拡大防止等の支援策(1071億円)、小児科等への診療報酬加算(71億円)のみで1142億円に留まった。また、PCR検査実施はわずか672億円となり、全国での検査拡大には不十分だ。
世論の強い批判を受けて菅総理は、年末年始のGoToトラベルを一次停止する方針を示したが、3次補正ではGoToトラベルの期間延長などで1兆826億円を計上した。感染拡大防止と感染を広げかねない相反する政策を同時に進めるのではなく、まずは感染拡大防止策を徹底すべきだ。
医療現場に支援を
新型コロナの感染者数、重症者数とも過去最高を更新し、コロナ対応病床や医療スタッフ確保が困難となる中、救急、手術など通常医療が大きく制限されている。今必要なことは全国的な感染拡大を防ぐための検査体制拡充や、コロナ対応も含めた医療確保、医療機関への減収補填など財政支援策だ。
政府は、これまでに約3兆円の緊急包括支援交付金(医療分)を計上したと説明しているが、執行率は約3割に留まり、医療現場には届いていない。しかも、大半はコロナ対応の医療機関に限られており、患者減や経費増に伴う経営困難が続く一般医療機関の支援としては不十分だ。医院経営の逼迫により、賃金・賞与の引き下げなど待遇悪化が続けば離職の契機となり、コロナ対応も含めた医療体制の確保に重大な支障が生じる。
保団連は、3次補正予算に、全ての医科・歯科医療機関に対し迅速、簡便で実効性のある減収補填、財政措置を盛り込むことを強く求めていく。
以上