(全国保険医新聞2021年5月5・15日号より)
新型コロナウイルス感染の第4波で医療が危機的な状況にある大阪では、感染者数が1,000人を越える日が続き、救急搬送も長時間待機する事態が多発。病床確保が追いつかず入院調整がつかない在宅患者が急増している。深刻な医療崩壊に直面する医療現場の現状を大阪民医連の大島民旗会長に聞いた。
吉村大阪府知事が1週間前倒しで2月28日に2回目の緊急事態宣言を解除して以降、大阪の新型コロナウイルス感染者数は過去最悪のペースで増加しました。特に今回の流行は変異株の影響もあって重症者が急増しており、4月25日時点で確保病床288床に対して重症者は362人(126.8%)と多くの入院待機者がいます。
重症患者も転送困難
民医連に加盟している大阪の4病院の状況をお伝えします。耳原総合病院では重点医療機関として疑似症用2床を含む5床を届出していますが、この間これを上回る受け入れの状況が発生しており、4月14日現在、陽性患者5人、疑似症患者6人が入院しています。うち1人の患者さんは重症化して人工呼吸管理を行なっており、対外式模型人口肺(ECMO)も想定した対応を府フォローアップセンターに相談しましたが転送困難な状況となっています。
発熱患者が連日押し寄せる コープおおさか病院では、連日発熱などの患者さんが押し寄せ、コロナ陽性者もこれまでにない勢いで確認されております。コロナ受入医療機関ではありませんが、近くの救急隊からコロナ陽性患者の受入要請がある状況です。
1日20人死亡も 患者を適切な治療の場で治療できない状態が大阪中で発生しており、すでに「医療崩壊」を起こしています。吉村知事が緊急事態宣言の要請の判断を4月19日まで遅らせたことは、感染者のピークアウトを遅らせることでしかありませんでした。大阪のコロナ患者の死亡率は2%で、1日1,000人の感染者が発生することは、のちに1日20人の命が奪われることを意味していますが、治療可能なベッドがなければ、死亡率は比較にならないほど上昇します。 以上 |
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