社会保障財源を考えるB法人・所得税収が大幅低下
(全国保険医新聞2021年6月25日号)
消費税増税に頼らない保団連の財源提案を連載で解説する。第3回は、税収構造の変容について考える。(随時掲載)
決算公表済みの国の税収(一般会計)を見ると、消費税導入直後の1990年度が60.1兆円に対し、2019年度は58.4兆円に低下している。この間、経済規模(実質GDP)は約1.3倍になっていることからしても、税収の低下は通常はありえない事態である。
税収が増えない背景には、税収の約7〜8割を占める所得税、法人税及び消費税の主要3税収(合計)が49.0兆円から48.4兆円と税収規模が変わっていないことが大きい。
主要3税収の内訳の推移を見ると、1990年度は、消費税収4.6兆円に対し、所得税収26.0兆円、法人税収18.4兆円だったが、19年度では消費税収が18.4兆円と4倍に激増する一方、所得税収は19.2兆円と6.8兆円減少し、法人税収も10.8兆円と7.6兆円も減少している。
消費税収のシェアが極端に上がる一方、所得税収と法人税収が減少した結果、主要3税収では横ばいとなっている。所得税収と法人税収が減少した分を、消費税収が増えて、減収分の穴埋めをした形である。
背景には、消費税導入以降、相次ぐ法人税や所得税の減税により、税制が空洞化していることにある。次回以降、法人税・所得税制の変容について考える。
以上