診療所8割がワクチン接種協力
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政府は発熱外来(診療・検査医療機関)への体制確保補助金を3月で打ち切ったが、補助金終了後も政府の要請に応え、体制を「継続している」という答えが83.2%、「体制を一部変更して継続する」が9.2%と、ほとんどの医療機関が体制を維持していることが分かった。政府は補助金を継続し、奮闘する現場を支えるべきだ。
また、発熱外来の指定を受けているのは医科診療所34.0%に留まるが、医科診療所全体の57.7%が発熱患者を「受け入れている」と答えた。発熱外来の指定に関わらず財政措置が必要だ。(図1)
内科を対象に、外来以外でのコロナ患者に実施する対応(予定含む)を聞くと、「自宅療養、入院・入所調整中の患者への往診・訪問診療」が34.6%と最も多く、「宿泊施設への出務やオンコールへの協力」(23.0%)、「介護施設への往診」(13.3%)と続いた。
こうした対応をとることによる不安として、「自身や看護師の感染」(32.7%)、「悪化、救急時の対応」(31.9%)、「日常診療との両立」(27.0%)などが挙げられた。
この他、自由記載欄には「地域医療に貢献したいと思い手を上げたが、後方支援(入院)を期待できない中、ストレスが多い」「往診はPPE対応含め多大な時間が必要。1人に2時間かかる」などの声が寄せられた。
ワクチン接種への対応(複数回答)では、医科診療所の57.4%が「自院での個別接種」を行うと答え、「集団接種会場への出務」も47.8%に上っている。一方で「対応しない」はわずか18.2%と、約8割が接種に協力する姿勢を示している。病院では「自院での個別接種」は90.6%が実施すると答えた。(図2)
ワクチン接種の課題として、「来院や電話等による予約受付の混乱」という答えが医科診療所で57.9%、病院で65.6%と最も多かった。自由記載欄には「公的予約システムが非常に未熟」「キャンセルが出た場合のワクチンの扱いが不安」「アナフィラキシーショックで救急搬送が必要になったときにすぐに支援病院が見つかるか不安」などの声が寄せられた。
また、歯科医師によるワクチン接種を特例として認めることについて、62.4%の歯科医療機関が「賛成」と答えた。66.4%が「自治体から要請があれば出務する」と協力の意向を示し、13.9%で集団接種会場への出務が決まっている。
コロナ禍での医療提供に尽力する一方、医療機関経営が立ち直っていない実態も分かった。医科・歯科診療所・病院の4〜6割程度が、今年4月時点でもコロナ前と比べ、受診抑制によって患者が減り、減収が続いていると回答した。兵庫協会は、「医療は『社会的共通資本』であり、その提供体制の縮小は地域住民の健康悪化につながる」と指摘。「全ての医療機関を対象とした減収補填が求められる」と訴えた。
※調査は今年5月17日〜25日にかけて会員医療機関を対象に実施。518件から回答を得た(回答率9.7%)。
以上