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金パラ価格引き上げ10月から 「逆ザヤ」解消に程遠い
診療報酬改定で抜本解決を

全国保険医新聞2021年8月5・15日号より)

 

 歯科治療に不可欠な金属材料、金パラの告示価格が10月1日から引き上げられる。新たな告示価格は2,951円となり、現行の2,668円から283円(10.6%)引き上げとなる。しかし、市場価格が告示価格を上回る「逆ザヤ」の恒常化を解消するには程遠く、抜本解決が必要だ。関連点数の改定は追って通知で示される。

 

実勢価格に見合わない引き上げ

 改定後の30グラムあたり価格は8万8,530円となる。
 保団連が呼び掛けた実勢価格調査「金パラ『逆ザヤ』シミュレーター」には、4月〜6月の購入価格1,800件超が全国から寄せられた。3カ月間の税込購入価格平均は9万8,370円であり、4月に改定された告示価格2,668円(30グラム8万40円)との関係ではマイナス1万8,330円、告示価格の2割を超える大きな「逆ザヤ」だった。
 10月の引き上げは、最近の市場実勢価格にまったく見合うものでなく、市場実勢価格が大きく下がらない限りは、今後も金パラ「逆ザヤ」が続くことになる。

 

改定価格に抗議し改善を求める

価格は30gあたり。実勢価格は保団連「金パラ『逆ザヤ』シミュレータ」調査の該当期間の購入価格平均

 保団連は7月19日に歯科社保・審査対策部長談話「『逆ザヤ』前提の金パラ価格改定に抗議し抜本的な制度改善を求める」を発表した。パラジウムの高騰を背景に右肩上がりで市場実勢価格が上昇しているもとで、金パラは「逆ザヤ」が恒常化している(図)。随時改定制度が機能不全に陥っていることを指摘し、抜本的な解決に動いてこなかった厚労省の姿勢を批判した。

 

全国で運動を

 「逆ザヤ」解消を求める切実な声を受け、厚労省は次回診療報酬改定に向けた課題として金パラの価格改定制度の問題を取り上げた。7月21日の中医協総会で最初の議論が行われたが、ここでの厚労省の資料や報告は、市場実勢価格に関するデータを一切示さず、市場実勢価格と告示価格の乖離にまったく言及していない。解決の方向性どころか、課題さえ明確にしない、極めて不十分な議論の提起だ。
 今後、「逆ザヤ」の実態を明確にし、解消を図る制度の実現が不可欠だ。保団連は「金パラ『逆ザヤ』シミュレーター」をはじめとした実勢価格調査データを活用し、実態を具体的に示していくとともに、会員の切実な声を集める署名に今後取り組むこととしている。ぜひご協力いただきたい。

以上

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