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「2割化」実施阻止へ 国会論戦を振り返るB
対象拡大に歯止めなし

全国保険医新聞2021年8月5・15日号より)

 

 先の通常国会では75歳以上の医療費窓口負担に2割負担を導入する法案が、自民、公明、維新、国民民主各党の賛成で成立した。立憲民主、共産、社民各党は反対した。国会審議では2割負担導入による受診抑制効果のほか、現状でも厳しい高齢者の生活実態に負担を強いることの是非について政府案に追及が及んだ。2カ月にわたる国会審議を振り返る(最終回)。

政府「これで終わりではない」

 今回の法改定は、後期高齢者の医療費窓口負担について、これまであった「1割」「3割」のほかに、「2割」のグループを設けるものだ。政府案では「2割」の対象になるのは、現在1割負担の高齢者のうち、「課税所得28万円以上かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯は後期高齢者の年収合計が320万円以上)」の人。
 この2割負担の対象範囲について田村憲久厚労大臣は、衆院厚労委員会で立憲民主の委員からの質問に対して「法律で書かれる事項ではなく、政令で定めるということ」と答弁している。「2割負担」の対象については国会での審議は不要で、いったん実施されれば政府がいかようにも決められることになる。
 衆参両院の厚労委員会で立憲民主、共産の委員から「将来にわたって2割負担の対象を拡大しないと約束できるか」などと問われた菅義偉首相は、「現時点でさらに対象者を拡大することは考えていない」と答弁した。また田村厚労大臣は、参院厚労委で国民民主の委員の質疑に答え、「『これで終わり』ということはあり得ない」「当然、負担をお願いしなければならない部分も出てくると思う」などと述べ、さらなる高齢者の負担増に含みをもたせた。

高齢者は現状でも受診抑制

 「年収200万円」という基準については、法案提出前の昨年12月、自民・公明の与党合意を経て法案に盛り込まれた。田村厚労大臣は国会で、「高齢者の負担能力や生活状況を踏まえた上で決定した」などと説明している。
 しかし、年収200万円はワーキングプア水準。国会では、立憲民主、共産の委員が「現状でも200万円の年金生活者は医療費の負担が気になって受診抑制が起きている」と追及。政府は高齢者の具体的な生活実態には触れることなく、「負担能力はある」との強弁に終始した。

各党の態度見極めよう

 受診抑制効果や高齢者の生活実態について、政府からの具体的な説明はないまま、「2割化」法は自民、公明、維新、国民民主各党の賛成で成立した。「2割化」の実施は2022年10月以後とされ、現時点では未定。実施までには必ず総選挙が実施される。「2割化」実施中止に向け、国会審議の状況と各党の態度を知らせていくことが必要だ。

以上

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