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コロナ禍と医療現場

キャンセル分も余すことなく

滋賀協会 太田志朗

全国保険医新聞2021年9月15日号より)
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 かかりつけ医による新型コロナワクチンの接種が続く。患者減で厳しい小児医療を維持しながら、ワクチン接種に奮闘する小児科医の取り組みを報告する。

 

太田 志朗氏

 5月中旬より、ファイザー製のワクチン輸入が多くなったこと、家庭の冷蔵庫でもワクチンが31日間保管できること、患者さんから接種の要望が強く出されていることなどから、滋賀県甲賀市に「開業医に早急にワクチン接種を担当させよ」と進言した。その後、甲賀市は6月3、4日に開業医向けの説明会を開催し、14日から市内開業医による接種が開始された。当院では前倒しで13日から始めたが、周知期間も3日間と短く、市のネット情報を検索できる高齢者も少なかったため、高齢者の数が予定数を大きく下回った。
 あらかじめキャンセルは予想していたので、園医をしている保育園、幼稚園の職員に接種した。次の優先順位として市内全小中の教職員の希望者の接種の1回目を6月中に終えた。
 高齢者を先にとの声もあったが、キャンセル分として接種した。教育現場のクラスター防止として、小児科医としての役割を果たしたと自負している(6月分は計1,376人接種)。
 ワクチン接種後は15分程の経過観察が必要であり、駐車場のスペースがワクチン接種人数に関係してくる。そのため朝・夕の外来30分前(高齢者の特性で早く来られる)にそれぞれ20人程、30分おきに外来の間に5人程、そして夕方6時までに接種を完了し、残りのキャンセル分を近所の人に協力してもらった。国から支給された注射器と針は用いず、7本取れるシリンジタイプを使いより多くの人に接種できた。
 第5波で予防接種の効果が弱いデルタ株の感染者数が滋賀県で過去最高を更新している。重症化を少しでも阻止するため、予防接種の推進と感染予防を強く働き掛けていきたい。

以上

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