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診療報酬―保団連の視点

外来:妊産婦加算の新設、歯科:金パラ「逆ザヤ」解消、
入院:入院基本料引き上げを

全国保険医新聞2021年9月15日号より)

 

 2022年診療報酬改定に向けた保団連要求を連載で紹介する。

外来―公費支出に基づく「妊産婦加算」の新設を

 不妊治療も含めた妊産婦医療充実の必要性は政府も認めるところであり、一刻も早い対応が求められる。2020年度改定で廃止となった妊婦加算も、「妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する」観点で新設された。投薬、検査方法の選択など妊娠の継続、出産前後の母子(胎児)、いわゆる妊産婦への診療は、特別な配慮が求められる。診療報酬で当然評価されるべきだ。
子どもを産み、育てやすい環境整備を実現するためにも同加算は「妊産婦加算」として、産褥期の女性にも対象を拡大した上で新設することを求める。
ただ、復活に当たっては、19年における妊婦加算凍結が、患者の3割負担という高額な窓口負担への不満を契機とした点を考慮することが極めて重要だ。少なくとも「妊産婦加算」部分は国の負担とし、自己負担の上乗せを実質ゼロにすべきだ。

歯科―金パラ「逆ザヤ」解消正面に据えた改定を

  金パラ「逆ザヤ」の真の解消に向けて、歯科用貴金属の購入価格が過不足なく保険償還されることが求められる。
 厚労省の金パラ保険償還価格の随時改定に係る重大な問題点は、@過去の価格を参照することでのタイムラグA商品の市場実勢価格が調査されないこと―の2点が挙げられる。
 「逆ザヤ」解消を制度改善の正面にすえるためには、実態把握が必要であり、歯科用貴金属の購入価格が過不足なく保険償還されるよう国が市場実勢価格を適時に調査・把握するなど、現行の価格改定の枠組みを検証の上、抜本的に制度改善すべきである。また、透明性を確保する観点から、改定に用いた価格データなどを情報開示および提供することも必要である。
 当面、随時改定については、随時改定TおよびUを整理し、3カ月ごとに変動幅に関わらず定期で実施すべきである。
 なお、制度改善にあたっては、医療材料の取引以外の物品取引についても見識を広げ、各種の価格調整制度も参考に検討すべきだ。

入院―入院基本料の引き上げを

  コロナ禍の今こそ入院医療に係る費用を保障し、適正に評価することが急務である。医療の安全確保のためには、何よりも十分な人員の確保と管理体制の強化が必要であり、そのためには、診療報酬の評価が必要である。現在のような低い入院基本料をさらに減額するような制度では、医療の安全確保は図れない。
 特に有床診療所はもはやグループホーム(764単位)の報酬よりも低く、昨年から200件近くが閉院している。地域医療に果たす役割を評価し、さらに報酬を引き上げるべきである。
 25対1療養病床は2022年3月で廃止予定とされているが、25対1療養病床が廃止されれば、在宅での本人及び家庭の負担は深刻化する。25対1療養病床の継続、報酬引き上げが必要である。また20対1療養病床の入院基本料の引き上げとともに、看護職員のみによる夜間勤務を評価すべきである。

以上

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